今週のメインは朝日杯フューチュリティステークス。2歳馬の総決算として伝統を誇ってきたGⅠ戦だが、17年にホープフルSがGⅠに格上げされてからは、趣が変わってきた。
紛れのある中山から14年に阪神へ場所を移したが、早熟型の2歳王者を決定する位置づけとなり、スピードがよりモノを言う一戦となった。
マイル路線、それも来春のNHKマイルCを目指す馬が集うだけではない。距離が2000メートルのホープフルSほどではないにせよ、ここで勝ち負けしてクラシック路線に躍り出た馬も少なくない。21年の勝ち馬で昨年のダービーを制したドウデュースがいい例だ。
マイル路線の王道に進むか、クラシックを狙えるか、その値踏みをする意味でも、ファンとしては目の離せない大事な2歳馬の総決算と言えるだろう。
まずは過去のデータを見てみよう。
阪神で行われるようになってからこれまでの9年間、1番人気馬は4勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。比較的順当に収まっているように見えるが、馬単での万馬券が4回あるように、阪神に舞台を移しても、馬券的には荒れ傾向。そのあたりは留意しておくべきだろう。
今年の顔ぶれを見ると、簡単ではなさそうで、難解である。絶対視できる馬が見当たらない反面、有力視できる馬は多く、絞り込むのに骨が折れる。伏兵陣も多彩で、どう転ぶか、実に容易ならざる一戦だ。
悩まされるが、穴党として期待を寄せたいのは、エンヤラヴフェイスだ。
前走のデイリー杯2歳Sは、ジャンタルマンタルに2馬身斬り捨てられての2着。完敗と言っていい内容だったが、勝負どころで揉まれたり、ハジかれたりするなど、スムーズな競馬ができなかった。それを思うと、まともだったら、と惜しまれる結果でもあった。
加えて前走は2カ月半ぶりの実戦。やや体に余裕があったし、パドック(下見所)で落ち着きを欠いていたように、きっちり仕上がっていなかったことは明らかだ。そうした状態で結果を残せたことは、評価すべきではないだろうか。
なので、まだ見捨てるわけにはいかない。実際、前走後は雰囲気がグンとよくなり、落ち着き払って好気配。稽古の動きも実にリズミカルになっている。
「まだよくなっていい馬。使われて良化しているのは確かで、上積みを見込める今回は巻き返していいはず」と、森田調教師をはじめ、厩舎スタッフも期待感を口にしている。
父エイシンヒカリは、気性の難しさはあったが、香港カップをレコードで快勝。続く仏イスパーン賞を大差勝ちした紛れもないGⅠ勝ち馬。母系もよく、快速タイキシャトル(マイルCS連覇を含むGⅠ5勝)のほか近親、一族に活躍馬がズラリと並ぶ良血でもある。
デビューから3戦ともマイル戦を使われているエンヤラヴフェイスも、スピードと決め手を兼ね合わせており、混戦に断を下してくれるとみている。大きく狙ってみたい。
バンドシェルも要注意。前走の京王杯2歳Sは、勝ち馬のコラソンビートとコンマ6秒差の4着だったが、新馬戦で勝利を収めた直後の一戦。それを思うと高く評価していい好内容だった。
この中間は順調そのもので、期待できる1頭だ。