ロサンゼルス・ドジャース入団会見を行った大谷翔平に、あまりありがたくないニックネームが登場した。それが「野球サイコパス」だ。ここ数日、X(旧Twitter)などのSNSでしばしば見られるようになっている。
サイコパスとは通常、一般人と比べて著しく偏った考え方や行動を取る、パーソナル障害の一種といわれている。今回のFA移籍における大谷の言動がこれまでの球界の常識を覆すため、そんなニックネームが持ち上がったのだろう。長年メジャーの取材に携わるスポーツライターは、その背景をこう推察する。
「そもそも契約内容が常軌を逸している、理解不能と思う人も多い。プロスポーツ史上最高額となる1000億円を超える契約を結びながら、そのほとんどを10年契約が終わった後に受けとるからです。しかも、金利ゼロ。にもかかわらず、ワールドシリーズ制覇に向けて、チームの戦力補強の妨げにならない方法を自ら提案したわけですからね」
金銭的な話だけではない。ドジャース入団が正式に発表された直後、球団首脳らとともに、オリックスからメジャー移籍を目指す山本由伸の入団交渉の場に同席したのも、驚きの行動といえる。前出のスポーツライターも、
「チームを強くしたい意欲、情熱の表れでしょうが、そこまでチームのために行動する選手は見たことがない。彼の頭の中に、野球以外はないのでしょう。まさに他の野球人とは全く違います」
こんなニックネームはよくないにせよ、球史に名前を刻む二刀流を理解するのは一般人だけでなく、野球人でも不可能だろう。大谷が来季以降、さらなる進化を遂げるのは間違いない。その時、どんなニックネームが登場してくるのか、楽しみでもある。
(阿部勝彦)