「広島記念in玉野」◎新田祐大/○松井宏佑/▲町田太我/△浅井康太
細切れ戦で押さえておきたいのが、立ち回りが巧みな単騎の台頭だ。
「広島記念in玉野」(12月21日㊍~24日㊐)は、新旧の機動型が演じる壮絶な先陣争いは必至。それぞれの番手に歴戦の追い込み選手がつける細切れ戦が濃厚だけに、波乱の決着もあるリーズになりそうだ。
まくり鋭い新田祐大が、後方一気に突き抜ける。競輪祭は3連勝で臨んだ準決勝で無念の敗退。昨年は寛仁親王牌優勝で全6冠を制し、グランドスラマーの称号を得たが、来年はSS班の座を明け渡すことになった。盟友の守澤太志が後位を固めるここは、先行争いを一刀両断、今年4度目の記念Vを手にするとみた。
その守澤は前走の別府記念で、ようやく今年の初優勝を飾った。平塚ダービー準決勝での落車骨折がまさに痛かったが、体調は戻っている。新田につけてチャンスはあるはずだ。
対抗は松井宏佑。競輪祭、伊東記念で準優勝と惜敗続きも力は備わってきている。持ち味は強烈なカマシ先行。和田真久留との南関両者で新田に肉薄する。
あとは、地元記念で気合いが入る町田太我と、レース巧者の浅井康太を押さえておきたい。
九州勢に若手先行が見当たらず、単騎戦になりそうでも山田庸平は軽視できない。オールスターと高松宮記念杯で決勝戦5着と好走しているように、ここでも実績は上位陣に匹敵する。自力があり、立ち回りは巧み。勝ち負けに絡むシーンがあってもおかしくない。
【大穴この1車】
大槻寛徳(宮城・85期)。
ゴール前の巧みなコース取りと鋭い差し脚が武器のベテラン。直近の高配当は競輪祭(⑥⑥①⑥⑨)の3走目が2万円超。記念では9月豊橋(⑥①④④)の2走目が7万円超、7月福井(⑧①④①)の最終日が5万円超と、グレード戦でよく高配当を演出している。玉野でも7月F1(⑤②❷)の準決勝で1万円超があり、人気薄ラインの2、3番手から1着流しだ。
【狙い目の伏兵3人】
S級在籍3年目の晝田宗一郎(岡山・115期)は、10月京王閣記念(⑤③①❼)と健闘した。ここも予選突破が目標になる。
来年の1月に待望の1班に昇班するのが山田雄大(埼玉・117期)だ。9月豊橋と5月宇都宮の両記念で決勝戦に進出している。23歳の伸び盛り。関東の先頭で大暴れがある。
堀江省吾(長野・119期)は、GⅢ3戦目になるが、まだ未勝利。初白星を挙げれば、勢いに乗る。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。