自民党の政治資金パーティーをめぐる政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑いで家宅捜索を受けた二階派(志帥会)の小泉龍司法相と中野英幸法務政務官は12月20日、二階派に退会届を提出し、受理された。
東京地検の強制捜査と前後して、安倍派(清和政策研究会)の「裏金5人衆」(松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長、高木毅国会対策委員長、萩生田光一政務調査会長)と、裏金受領を認めた鈴木淳司前総務相、宮下一郎農水相は辞任した。
ところが岸田文雄総理は、副大臣に至るまで安倍派を「粛清」したにもかかわらず、二階派の小泉法相、自見英子地方創生相、中野政務官は留任させるダブルスタンダード。特に検事総長への指揮権を持つ小泉法相の留任には野党も有権者も理解に苦しむが、岸田総理は「ひとりひとりの事情や意向を踏まえて判断した」と苦しい弁明に終始した。
退会届提出後、小泉法相は記者会見で、次のように語っている。
「公平公正、厳正に法律に基づき行政を執行していくのが法務省なので、国民の誤解を招かないように派閥を退会した。退会は一時的なものとは思っていない。与えられた職責を全力で果たしていく。二階会長からは、職務にしっかり専念してもらいたいと、お言葉がありました」
これに失笑するのは、政治部デスクだ。
「法相の『代表的な職務』が、死刑囚への死刑執行です。刑事訴訟法では、法相は死刑判決確定から6カ月以内に執行を命じ、さらに5日以内に執行するよう定めている。ところが小泉氏は9月13日に法相に就任してから、一度も死刑執行命令書にハンコを押していません。小泉氏のいう職務とは何なのでしょう」
現在、収監中の死刑囚は107人もいるのだが。
(那須優子)