大手美容脱毛サロン「銀座カラー」運営会社の株式会社エム・シーネットワークスジャパン(港区六本木)が突然にして「破産手続き開始の決定」と「営業停止」を発表したのは12月15日だった。信用調査会社「帝国データバンク」によると、負債は債権者約10万人に対して約58億円に上るという。
美容業界は「ミュゼプラチナム」が「銀座カラー」の契約者に向けて旧「銀座カラー」の全身脱毛コースで支払った契約金額(上限25万6000円)を値引きする「引き継ぎ支援制度」を設けるなど、救済に乗り出した。だが、自分のムダ毛の毛質と肌質、年齢、生活スタイルを考慮して「脱毛サロン」を選ばないと、数十万円もの大金を損することにもなる。
看護師として美容皮膚科で医療脱毛施術に携わったことがある筆者の独断で、タイプ別に説明すると…。
【ムダ毛やアンダーヘアが濃い人、剛毛な人】
毛が濃い人、剛毛な人には残念ながら、医療脱毛は向かない。最も脱毛効果が期待できるのは医療脱毛だが、そのぶん、施術の際の痛みが強く、屈強な男性でも痛みのあまり涙を流すことも。激痛を我慢する覚悟がなければ、あるいは痛みに弱い人には、美容脱毛サロンがオススメだ。あるいは美容脱毛サロンである程度の毛根を焼いた上で、医療脱毛に切り替えてもいい。
【肌が弱い人】
肌が弱く、施術前の剃毛でカミソリ負けする人や、施術後に皮膚トラブルが起きやすい人は、皮膚科医が常駐する美容皮膚科での医療脱毛をオススメする。
【40代、50代】
ハイレグの水着を着る機会はないが、将来の介護に備えて「介護脱毛」する中高年が増えた。脱毛永久補償をするサロンは多いが「アンダーヘアが白髪」になると、施術効果はなくなる。更年期を終えた40代、50代が永久脱毛契約をしても、白髪になるまでの残された期間が少ない点には注意が必要だ。契約するならアンダーヘアが白髪になるまでの短期集中コースや、その都度支払いの方がいい。
【隙間時間を活用したい人】
銀座カラーが倒産した際、「サロンで出してくれた美味しい紅茶は買えるのか」がネット上でバズった。美容脱毛サロンの最大のメリットは、隙間時間にカフェに行く感覚で気軽に利用でき、かつスタッフの手厚い接遇にある。脱毛効果だけでなく「プチ贅沢気分」を味わいたい人、育児の合間にストレス解消のひと息をつきたい人は、倒産のリスクを踏まえた上でサブスク利用もアリだろう。
ちなみに脱毛や美白を考えているなら、日照時間が短く紫外線量も少ない「冬至」前後の今がオススメ。脱毛した部位、施術した箇所が日焼けすると、肌が赤くなるなどの皮膚トラブルや、シミ・シワの原因になるからだ。
…というわけで、人生いろいろ。毛もいろいろ。美容皮膚科には「毛を抜きたい人」「毛を生やしたい人」のどちらもやってくる。抜きたい人のムダ毛の毛根を再生医療に活用して、生やしたい人の頭皮に移植する技術が早く確立されないものだろうか。
(那須優子/医療ジャーナリスト)