15年の初優勝以降、9大会で優勝6回と箱根で無類の強さを発揮する青山学院大も対抗馬のひとつだ。原晋監督(56)は記者会見で「負けてたまるか大作戦」を発令し、ライバル心を燃やしている。
「大エースはいないけど、出場する10人は全員同じくらいの力なので、ミスがなければ上位に必ず入ってきます。それに、原監督は箱根での勝ち方を熟知した名将。大会までに調整する能力、どの区間にどの選手を起用するのか、配置のうまさに秀でているので、今大会も何か起こしてくれそうな雰囲気はありますね」
國學院大や創価大も虎視眈々と表彰台を狙う中、ダークホースは前回9位の城西大だ。今季は出雲駅伝3位、全日本大学駅伝5位でそれぞれ過去最高順位を更新。番狂わせを起こせる大駒もそろっている。
「全日本では3区のヴィクター・キムタイ選手(2年)と4区の斎藤将也選手(2年)が区間賞で結果を残しました。また、前回の箱根5区で区間新記録を樹立し、〝山の妖精〟と呼ばれた山本唯翔選手(4年)も自信をつけ、ゲームチェンジャー(レースの流れを大きく変える選手)が3人いるのは、青学にはない大きな強み。1区さえうまく流れに乗れたら、往路優勝もあるかもしれません」
一方、超目玉選手といえば、順天堂大の大エース・三浦龍司選手(4年)だろう。東京五輪で3000メートル障害に出場し、日本人初の7位に入賞したが、箱根では1年で10位(1区)、2年で11位(2区)、3年で12位(2区)と、オリンピアンとしての面目を保てなかった。
「もともと本人がロードに向いてないと思って走っている気がします。トラックでは獲物を追いかけるような鋭い眼光と迫力を見せるのに、駅伝になるとマイペースな面が悪い形で出てしまい、あまり自分を追い込めていないように見えます。とはいえ、彼の走り次第でシード落ちの可能性も出てきますし、共同主将を務める学生最後の駅伝。本気の走りを見せてほしい」
目下、第100回大会ということで注目度は例年以上で、出場枠も3枠増加の23校。学生連合チームは廃止されたが、参加枠は全国に広げられ、予選会に出た関東以外の11チームでは京都産業大の27位が最高位だった。
「地方大学の参加は全国の学生に夢を与えるいい試みでした。ただ、今大会限りで終わらせるのではなく、継続することが大事。箱根に出場するまでに、5年から10年はかかります。参加できるかどうかわからなければ、大学側はバックアップできないし、選手も20キロ以上走るトレーニングはやりません。90年代前半のマラソン界をリードした中山竹通さん(64)のように、長野の無名校からすごい選手が現れる可能性だってあるんですから。関東学連の方もその気になってやってほしいものです」
何はともあれ、駒大が偉業達成するのか、ライバル校が包囲網で阻止するのか。100回目の号砲が待ちきれない。