100万円以上の投資資金があるなら、税金を軽減できるNISA!お勧めは手数料の安いETF!
利子や配当であっても、株価や投資信託が値上がりした際の儲け(譲渡益)であっても、お金の運用には20%の税金が掛かる。細かな話は抜きに、基本はそうだと理解してほしい。今や金利があまりに低く、預金などでは税金を意識することがないかも知れないが、株式や投資信託の運用では、この税金は大きい。運用がうまくいき「1割儲けた」と思っても、税引き後の実質は8%に過ぎない。
この税金を軽減することが出来る制度がNISA(少額投資非課税制度)だ。今年から導入された制度で、金融機関がポスターを掲げ、テレビCMを流しているので、名前をご存じの読者も多かろう。そう、あの「ニーサ、ニーサ」とうるさく言っている制度のことだ。
投資の税金を軽減できる制度はほかにもあるが、面倒な話にならぬように、今回はNISAに集中して使い方を説明する。
NISAは、金融機関に専用の口座を開いて、株式や株式投資信託に投資して利用する。非課税の対象になるのは、1年間で100万円までの投資の収益で、配当・分配金も、値上がり益も、全てが対象になる。期間は5年間で、毎年100万円ずつの投資が新たに対象となる。つまり、最大で合計500万円の運用元本を非課税で運用出来るのだ。
例えば、読者がこれから投資信託を買おうと思うなら、まず100万円分は、NISA口座で買うほうがいい場合が多いだろう。あるいは、現在、NISA以外の口座で100万円以上の株式を持っているなら、そのうちの100万円分は、いったん売却してNISA口座で投資し直すほうがいいかも知れない。非課税で運用出来る枠があるのだから、それを利用しないのは損だ。億劫がらずに考えてみよう。
NISAの運用の考え方は簡単だ。非課税のメリットを最大に使うために、自分が運用している資産の中で最も期待利回りの高い資産部分をNISAに「割り当てる」。恐らく国内株式か外国株式になるだろう。
次に、NISAでは5年間の途中で売却した元本を再投資しようとしても非課税の対象から外れてしまうので、例えば国内株式に投資するのでも、業績の急激な悪化などで5年の途中で売りたくなる可能性の高い個別株式よりも、じっくりと持てる投資信託がいい。
加えて、手数料の安い商品がいいので、株価指数に連動するインデックス運用の投信、特に信託報酬という手数料が安いETF(上場投資信託)がいい。銀行は、ETFを扱えないし、窓口で扱う投資商品の手数料はいずれも高い。NISAは銀行でやるべきではない。手数料面では対面型の証券会社よりもネット証券がさらに安上がりだ。100万以上の投資資金があれば、NISAの正解は「ネット証券でインデックス投信(できればETF)」だ。
◆プロフィール 山崎元(やまざき・はじめ) 経済評論家。58年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社し、野村投信、住友信託、メリルリンチ証券など12回の転職を経て、現在は楽天証券経済研究所客員研究員。獨協大学経済学部特任教授。「全面改訂 超簡単 お金の運用術」(朝日新書)など著書多数。