衝撃の洗脳騒動から、紆余曲折ありながらも芸能界に復帰。だが、昨今は関係者との間に起きたトラブルが報じれられるなど、その言動が不安視されるのが、X JAPANのToshlだ。
Toshlは2023年11月28日に都内で開かれたX JAPANのベーシストで盟友だったHEATH(10月29日逝去、享年55)のお別れ会にも顔を見せず、供花も見当たらなかったことから、リーダーYOSHIKIとの不仲が尾を引いている、との報道が散見された。12月13日には「女性自身」が、実母の葬儀にも姿を見せなかった、という実兄の談話を掲載。バンドメンバーだけでなく、親族との確執までもが明らかになったのである。
同誌の取材に対し、実兄は「(弟からは)脱洗脳後、まだ一度も私たち家族に、何の連絡もありません」と語っている。Toshl自身もかつてメディアの取材に答え、
「(セミナーにいたため)長い間、父の死を知ることはできなかった。それが今も大きな悔いとして残っています。母や兄とは…現在、疎遠な状態です」
と複雑な親子関係を語っていたことがある。報道が事実であれば、彼は悲しいかな、両親2人の死に目に会えなかったことになる。
その原因が全て、1997年に入信した自己啓発セミナー「ホームオブハート」(以下、HOH)にあったとするなら、それはあまりにむごいことだと言わざるをえないだろう。
Toshlがロックオペラで共演したMと結婚したのは、1997年2月。4月にX JAPAN脱退を決意した彼がMの紹介で出会ったのが、のちに「洗脳騒動」で世間を騒がせることになる、HOH代表のMASAYAという男だった。以降12年間、HOHに籍を置き、金、名声、妻の全てを失ったとするToshlが弁護士同席のもと、都内で同団体との訣別記者会見に臨んだのは2010年1月18日だ。Toshlは言った。
「お金は全てMASAYAに渡しており、おかしいとは思っていたが、お金がない、お金がないと言われていたので、自分の経費以外は全て献金してきた」
妻とは離婚調停中であるとした上で、
「彼女とは10年前から別居状態で、MASAYAと那須で生活しています。不倫関係だったかどうかは、僕の口からは申し上げられません」
要は洗脳により「妻を寝取られ、金もしゃぶりつくされた」あげく、サラ金にも手を出すまでになったと告白したのである。
2013年10月、彼は12年に及ぶ壮絶な洗脳体験を書いた自叙伝「洗脳」(講談社)を出版。その後もテレビ出演などで「今はただ自分のリズムで、ささやかに、清廉に生きていきたいです」と語っていただけに、「女性セブン」が報じたYOSHIKIとの金銭問題を巡るトラブル勃発の記事には驚かされた。
12年の歳月で彼の心身がどう蝕まれたかはわからないが、友人関係を壊滅させ、さらに親子関係まで崩壊させたカルト教団の卑劣な洗脳に、改めて怒りを禁じえないのである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。