2024年の干支は辰だが、実在する動物で構成されている干支の中で唯一、辰(龍)だけが架空の動物だ。その理由については「龍という文字には鰐(ワニ)の意味もあり、そもそもはワニだった」説のほか、諸説あってはっきりとはわからないものの、中国などでは古来から辰は権力の象徴として、縁起のいい生き物とされてきた。
中国に限らず、古くからヨーロッパの民話などに登場する龍だが、実はジュラ紀の後期、実際に翼を広げ、空を自由に飛ぶランフォリンクスという翼竜が生息しており、イギリスやドイツ、タンザニアで化石が発見されている。恐竜に詳しい研究家の話を聞こう。
「ランフォリンクスは、『嘴状の鼻先』という意味を持つ長尾型翼竜で、翼を広げた際の長さは推定40センチから175センチ。強靭な長い尾を持ち、先端にある菱形の尾翼が特徴です」
実はそんなランフォリンクスに酷似しているのが、パプアニューギニアのビスマルク諸島などで頻繁に目撃されているUMA、ローペンだ。目撃談によれば、ローペンは翼長1メートルから7メートル程度で、羽毛や体毛のない、なめし革に似た肌を持ち、コウモリのような翼には鉤爪のついた3本指が。耳はトカゲ、クチバシはワニのようで、体の色は赤褐色か黒、あるいは茶色で、斑点があるという。UMA研究家があとを引き取って解説する。
「ローペンは先住民族の間では古くから神話的生物として知られ、デュア、ワワナルなどと呼ばれてきた夜行性の怪鳥です。島々の洞窟に棲みつき、主食は魚介類や昆虫だとされますが、性格が獰猛なため、動物や人間を襲うこともある。1944年にはウンボイ島に派兵されていたアメリカ人兵士が、ブタを襲う翼長6メートル以上のローペンを目撃しました。1989年にはランバットヨ島で夜釣りをしていた男性が、ローペンに襲われる事件も発生しています」
それだけではない。2001年にはウンボイ島のグマロング村で、クチバシで墓を掘り返し遺体を貪る姿が地元住民に目撃され、現地ニュースになったこともあるという。
「その正体については、ランフォリンクスの生き残りではないかといわれる一方、オオコウモリやグンカンドリを誤認したのではないか、という説もあります。2006年にはアメリカ人がパプアニューギニアのリモート山岳で、ローペンらしきもののビデオ撮影に成功しています。辰年の今年こそは、その正体がはっきりすることを期待したいですね」(前出・UMA研究家)
不思議な生物が多く生息しているとされるパプアニューギニアで、伝説のUMAが捉えられる日は来るか。
(ジョン・ドゥ)