そして20キロ近くも体重を落としたことについては、
「食事を取れないからです。おなかの血管がやられているので、食べ物を吸収できない。つまり、口からものを食べられない。手術のために食事を抜き、栄養分は静脈注射で補給します。だからヤセますよ」(田村名誉教授)
実は野村氏、一時退院して自宅療養中に、一度だけ外出しているという。
「激ヤセした姿を見せたくないはずなのに、それでも外出したのは、よほど世話になった人かスポンサーなどに挨拶に行ったのかもしれませんね」(球界関係者)
田村名誉教授は、この一時退院に首をかしげるのだ。
「一度退院して自宅に戻るというのは考えにくいですね。もしかしたら手術を拒否したのかもしれない。でも、それではダメだということで、受けることになって再入院したのでは」
とにもかくにも、無事に退院してくれることを祈るばかりだが、当然ながらテレビ界、マスコミからは「早く戻ってきてほしい」の声が上がっている。
「レギュラー番組、連載、評論コラムを持っているメディアは困っています。あれだけ知名度があって、ズバズバ言ってくれる人ですからね。講演会も大人気ですから、キャンセルは主催者にとって痛手ですよ」
痛手といえば、テレビ出演料は野球人では最高ランクで、少なくとも1本100万円というから、野村氏自身も金銭的な損失は大きい。もちろん、講演会のギャラも同様に最高ランクで、
「中には500万円も支払う主催者がいます。平均すると、150万円から200万円ぐらいでしょうか。スケジュールはすぐに埋まりますね」(講演会講師派遣業者)
野村氏不在のプロ野球界について、球界OBはこう話す。
「ノムさんのことをいちばん心配しているのはミスターではないか。事実、ミスター周辺からは、そうした声が聞こえてくる。宿命のライバルが弱ると、ミスターもガクッときてしまうのでは、と憂慮していますよ。NPBのベストナイン表彰式でミスターを見た報道陣から『すっかり(風貌が)衰えたな』との声が出たそうだし‥‥」
そもそも現在の日本プロ野球の進歩は、野村氏の功績によるところが大きいのも事実だ。
「ある意味、主流になりつつあると言えるのは、野村ID野球でしょう。ヤクルトの真中満監督はノムさんの教え子だし、ソフトバンク・工藤公康監督も考え方が近い。阪神・和田豊監督もID野球を実践しているかどうかはともかく、かつての教え子です。巨人だって、現役時代、楽天コーチ時代を通じて野村IDを叩き込まれた橋上秀樹コーチを招聘して戦略室なるものを作り、データ野球を取り入れました。さらに広島の根底にあるのは、実は野村ID野球。南海時代に同僚だった古葉竹識元監督はハッキリこう言っています。『南海時代、(野村氏に)野球を教わった。それが赤ヘル野球の原点になった』と。生え抜きの緒方孝市監督は、その赤ヘル野球を受け継いでいます」
とりあえず年内は仕事を入れず、休養に充てるという野村氏。来年から復帰する予定になっているそうだから、あの毒舌、ボヤキ、頭脳解説が聞かれるのももう間もなくだろう。とはいえ、今後は球界のためにもハードスケジュールは封印し、ほどほどに活動して盛り上げてもらいたいもの。完治を願っています。