ブラックユーモアあふれるあの毒舌が聞かれなくなってしばらくたつ。球界屈指の論客が、全ての仕事をキャンセルして入院中なのだ。なんと、激ヤセしているというその病状を探ってみると、何やら深刻な話が飛び出してきたのだが‥‥。
「ノムさんが宣伝キャラクターを務める健康食品の新聞広告が各社、10月頭に掲載されるはずでした。『現役』『絶好調』などというキャッチフレーズが並ぶのですが、ちょうどこの頃に体調不良説が流れた。もし入院ということにでもなったら、広告としては健康とは逆のイメージで、これはまずい。結局、掲載を見合わせることになりました」
野球評論家・野村克也氏(79)の身辺について、渋い表情でこう話すのはさる広告代理店関係者である。
それから程なくして、体調不良を理由に、出演が予定されていた講演会、イベントの中止が相次いで発表される。著書の出版記念サイン会&トークショー、兵庫県姫路市での講演会、NHKラジオの公開収録、都内にある高校の創立記念講演会‥‥。姫路市の講演会では、沙知代夫人(82)との掛け合いトークも予定されていたのに、である。実は野村氏は都内の病院で精密検査を受け、入院することになっていたのだった。
「10月中旬には『疲れていたので年内は休みが欲しい』と言っていた。まだ見かけは元気そうな様子でしたが、入院直前だったようです」(スポーツ紙デスク)
そしてこれ以降、野村氏はテレビや新聞などのメディアからも姿を消した。レギュラー出演するスポーツ番組「S☆1」(TBS系)では、野村氏不在について何の説明もなかったことから、「あまりにも不自然。ひょっとして深刻な状態なのでは」との憶測も流れ始めていた。
「週刊ベースボール」の野村氏の連載「本物の野球はどこへ行った?」も、11月10日号を最後に突然の休載。だが、誌面にはその理由も、休載するとのことわり書きもない。まるで何かを隠さなければならないかのようである。
そして11月26日、プロ野球80周年を記念して「NPB80周年ベストナイン」が発表され、表彰式が開催される。吉田義男氏、福本豊氏、長嶋茂雄氏、山本浩二氏、王貞治氏、張本勲氏、高木豊氏が登場する中、同じく選出された野村氏は欠席。受賞を喜ぶメッセージを寄せたのみだった。スポーツ紙デスクが語る。
「NPBのイベントに出てこないというのはよほどのことなのかと、各マスコミは取材に動きだしました。講演会などの仕事をキャンセルしているため、このイベントにだけ出てくるわけにもいかない、とは聞きましたが。ただ、表彰式に出席したOBたちは、ノムさんが体調不良で入院したことをすでに知っていたようです」
事態がより深刻さを帯びてきたのは、沙知代夫人が親しい人物にも「入院なんかしていない。講演会に行っている」と、入院の事実をひた隠しにしているためでもあった。野村氏の長男でヤクルトの野村克則バッテリーコーチ(41)も報道陣に対し、「全然、大丈夫です」と答えていたという。
「もし重篤な症状で入院したとなれば、テレビ番組やイベントなどで扱いづらくなる可能性がある。気を遣われ、仕事が来なくなる、という計算もあったのか‥‥。普通に発表してしまえばいいと思うんですが、隠したり妙な説明をしたりするから、よけいに騒ぎになるんです」(遊軍記者)
裏事情に詳しい球界関係者が言う。
「入院して検査をした結果、解離性大動脈瘤だったと聞いています」
解離性大動脈瘤とは、簡単に破れないように内膜、中膜、外膜からなる三層構造をしている血管のうち、中膜が弱くなって血流が入り込み、コブができる症状。大動脈が破裂する危険性もはらんでいる、危険な心臓疾患なのである。