スナック好きの女性や訪日外国人向けに開催されている「スナック巡りツアー」など、ここ数年でスナックは大きく注目されている。コロナ禍を抜け、夜の街に活気が戻ってきた今、都内のスナックは非常に盛り上がっているように見える。
しかし少し地方へと足を運ぶと、いまだにコロナ禍の状況を脱していないまま、活気が戻らないスナック街も存在する。
兵庫県のとある繁華街。大阪・梅田やミナミほど賑わってはいないが、都市部のベッドタウンとして知られている。駅前だけでも50軒ほどのスナックがひしめき合っているが、年の瀬でもコロナ禍前ほどの人出は感じられなかった。スナックのママの話を聞くと、
「コロナ前は地元の建設会社の社長さんや社員が集まって、20人から30人の忘年会の予約が入っていたんですけれど、最近はさっぱり見かけなくなりましたね。自粛が解除されても年配の社長さんは飲みに行っていないみたい。地元の常連さんにしても、年配の人が亡くなったという話も聞きます。最近、飲みに来るのは、あまり見かけない新規の人。出張とかで来て、フラッと入ってくることが多いんです。1時間ほどで帰ってしまって、常連にはならないですね」
メディアが作り上げたスナックブームもあり、若い新規客が来る機会は以前よりも増えた。しかし本来、主な売上源の常連客が来なくなったため、年末でもいまいち盛り上がっていなかったのだ。
客足が伸びない理由は他にもある。別の店のママが言う。
「以前は大学生のアルバイトの子がいて、その子目当てで来てくれるお客さんもいたんですよね。今は私と、たまに来るアルバイトの子1人だけでやっていて、ほとんどワンオペで回しています。ガールズバーやコンカフェの方が時給がいいので、若い子がなかなか集まらないんですよね」
スナックブームとはいえ、働き手不足が続いている。地域によっては客の流れに大きな変動があり、明暗がハッキリと分かれているようだ。
(カワノアユミ)