今年は正月早々、3日間開催があったことから中山競馬は先週で幕。舞台は今週から東京に移る。その開幕週のメインは根岸Sで、周知のように今年最初のGⅠフェブラリーSのトライアルレースである。
一線級の顔は見られず、第2、第3グループによる争いになるが、それだけに顔ぶれは新味があり、今後のスター候補も少なくない。
ポイントは、1カ月後に行われる本番と比べて距離が1ハロン短いこと。この重賞にすべてをかけるスピード優先の短距離馬を重視するか、それとも、本番を見据えて何とか出走権を得ようと勝負に出てくる馬を重視するか、難しいところだ。
まずは過去のデータをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は5回(馬連は2回)。この間、1番人気馬は7勝(2着6回)、2番人気馬は3勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。大きく荒れることは少ないものの、堅い決着もまた少ない。
まずは中穴傾向の、比較的順当に収まる競馬とみるべきで、馬券的には人気どころから、人気薄も何頭か絡める流し馬券が有効か。
年齢的には充実著しい5歳馬が過去21年間で8勝(2着10回)と圧倒しており、6歳馬も6勝(2着5回)を挙げているように、古豪の奮闘ぶりも目立っている。
性別では牝馬の出走頭数が少ないこともあり、牡馬勢が断然、連に絡んでいるが、そうした過去のデータをもろもろ考慮した上で期待を寄せてみたいのは、5歳牡馬のビヨンドザファザーだ。やや長めの距離がよさそうなイメージを持たれているだけに、初めてになる7ハロン戦は、この馬にとって短いとみられてもやむをえまい。
が、東京のマイル戦は〈1 2 0 3〉で、勝ち鞍4勝のうち3勝を新潟、東京、中京で挙げているように、とにかく左回りが上手。しかも強烈な末脚を武器にしていて、直線の長い東京コースは大歓迎。陣営としてもそのへんを考慮しての挑戦だ。
狙いは当然、本番のフェブラリーS。ここで連対を果たし、賞金を加算しておきたいところなので、恐らく全力を注いで臨んでくるはずである。
1週前の追い切りも、リズムに乗って文句なし。藤岡調教師をはじめ、厩舎スタッフは「ここにきて馬体が締まり、たくましさが増してきた。いい雰囲気で、この分なら」と口をそろえる。
父カーリンはドバイワールドCなどダートGⅠで7勝を挙げた馬。近親、一族には北米ダート界で活躍した馬も数多くいる。そうした血統的背景に加え、前々で競馬をする馬が多いだけに、流れ、展開は間違いなくこの馬に向くとみて〝一発〟を期待したい。
逆転候補も同じ5歳牡馬のフルムだ。
こちらは6ハロン戦を得意としていたが、このところ距離を延ばして安定感が出てきた。力もつけた印象で、チャンスは十分ある。
一方のシルクロードSは、アグリの勝機とみた。
前走の阪神Cは、2カ月半ぶりながら僅差の3着。使われたことで、この中間は大幅に良化している。7ハロン戦を最も得意としているが、父、母の父ともスピードを武器にした快速馬で知られ、祖母は英、愛1000ギニー(桜花賞に相当)の2着馬。
昨年の高松宮記念は、見せ場を作っての7着で、初めての6ハロン戦だったことを思うと、健闘と言っていい。その後、セントウルSでは2着しており、スプリント戦の対応力は十分。良馬場なら勝ち負けだ。