政治資金パーティー券問題で多くの議員がキックバック(還流)を受けたとして非難を浴びている自民党派閥の清和政策研究会(安倍派)で、座長である塩谷立衆院議員の議員辞職が取り沙汰されているが、派内では西村康稔前経産相ら「5人衆」の責任を問う声が根強い。
福田達夫元総務会長ら約30人の同派所属議員が1月26日に開いた会合後、出席者のひとりは「5人衆の全てが責任を取るべきだ」と発言した。この議員によると、離党にとどまらず議員辞職を求める声も上がっているという。
組織論から言うと、会長不在の中で事実上のトップである塩谷座長と、事務総長の高木毅前国対委員長が責任を取るべき立場にいる。だが「5人衆」は会長だった安倍晋三元首相が2022年7月に暗殺されて以降、派内をまとめる立場にいた上、岸田文雄内閣で閣僚、党幹部のポストを占め続けた。
「自分たちだけいい思いをして、都合が悪くなったら無役だった塩谷さんに責任を押し付ける。それはないだろう、という思いが派内に多い」(中堅議員)
しかも安倍元首相はノルマ以上のパーティー券代のキックバック不記載をやめるよう指示したが、亡くなった後、事務総長だった西村氏らはそれを復活させていた。世耕弘成前参院幹事長は同年7月の参院選の責任者として、カネなどを差配する立場にいた。世耕、西村両氏ともに、政治資金の問題は秘書がやっていたことで自らは知らなかったと弁明しているが、
「世耕、西村両氏がしっかりとしていたならば、こんなことは起きなかった」(若手議員)
として、2人の責任を問う声が多い。
松野博一前官房長官については、他の派閥幹部から、
「官房長官として、法務省からなんらかの形でアドバイスを受けるべき立場にいた。にもかかわらず、報道が出るまで放置していたとは信じがたい」
とする声が出ている。
世耕氏は昨年10月の参院本会議で、こう言っている。
「(内閣)支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーの姿を示せていないことに尽きる」
身内として異例の形で岸田首相を批判したが、その言葉は今、そのまま世耕氏に当てはまっている。世耕氏や西村氏らにはリーダーとして議員辞職、あるいは離党してけじめをつけることが求められている。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)