東京開催は2週目となり、メインは東京新聞杯が行われる。
春のマイル王決定戦、安田記念(6月2日)を見据えている馬は、すでに手中にしている賞金が多く、この時期は鋭意休養中。なので第2、第3グループによる争いとなるが、マイラーの層は厚く、毎年のように顔ぶれはそろう。
なかなか重賞を勝ち切れない実力派に、次代を担う候補者たち。多彩なメンバー構成で、毎年スリリングで熱のこもった競馬が堪能できる、実に見応えのある一戦だ。
今年もフルゲート(16頭)になると思われるが、確かに顔ぶれはいい。
古馬では、昨年の覇者で海外遠征を控えているウインカーネリアン、昨年の阪神牝馬Sの覇者サウンドビバーチェ、安定感を増してきたジャスティンカフェ、前走の京都金杯で僅差3着のトゥードジボン、上昇著しいマテンロウスカイといったところ。
そして4歳馬は、スター候補がズラリと顔をそろえる。NHKマイルC2着以来となるウンブライル、桜花賞2着のコナコースト、朝日杯FSでクビ差2着、NHKマイルCでも4着に善戦したダノンタッチダウン、休み明けを2度使われて本格化が近いフリームファクシ、秋華賞2着のマスクトディーヴァ、そして善戦を続けるライトクオンタムといったところで、いずれの馬が勝ち負けしてもおかしくなく、GⅢ戦としては豪華版である。
馬券的にはおもしろくも難解だけに、まずは過去のデータをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は9回(馬連は6回)。この間、1番人気馬は3勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は2回のみ。
広くて直線が長く、紛れが少ないはずの府中での別定重賞でありながら、一筋縄で収まらないところがおもしろい。
年齢的には過去21年間で9勝(2着9回)を挙げている4歳馬の活躍が目立っている。それに続くのが充実の5歳馬ではなく、6歳馬の7勝(2着5回)だけに、軽視は禁物だ。
どう転ぶにせよ、今年は難解極まりないが、穴党として最も期待したいのは、4歳馬のコナコーストだ。
チューリップ賞2着、桜花賞2着と勝ち味に遅いが、共に僅差で能力は間違いなく高い馬。だが、昨秋の2戦は8着、10着だけに、ここでの評価は低いだろう。
しかし、まだ4歳になったばかりで余力は十分。成長の余地を残しているのであれば、軽く見ては断じていけない。
秋華賞は5カ月ぶりの実戦で前走比プラス10キロだったように、明らかに余裕残しの状態。8着に敗れたのも、やむを得ない結果だった。
続く前走のターコイズSは、前走比マイナス10キロで出走したものの10着。とはいえ、中山のマイル戦だったため、外枠(15番枠)が影響してスムーズな競馬ができなかったまで。勝ち馬とコンマ6秒差だったことを思うと、悲観材料にはならない。
この中間は、しっかりと乗り込まれており、稽古の動きもなかなか。
厩舎スタッフは「ここは目標にしていたレースで、活気も出て実にいい雰囲気。ここにきて成長しており、変わり身が期待できる」と、ヤル気のほどを口にする。
近親、一族にフサイチコンコルド(ダービー)など活躍馬が多くいる良血。まだ1勝馬の身ではあるが、力は十分ある。良馬場条件に初重賞制覇のチャンスとみたい。