9月の自民党総裁選への意欲を示している高市早苗経済安全保障担当相が、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の開催延期を岸田文雄首相に進言した。評論家の高橋洋一氏が自身のYouTube番組で、
「閣内には万博担当相もおり、越権行為は言わないのが普通。でもあえて今言うということは、行政の仕組みとは違う、政治家としての発言。自民党の中の政治の力学がものすごく動いているから、そういう時に高市さんも政治家としての存在感をはっきりさせる、そういう意味がある」
と解説したように、閣内からの延期発言はそれなりにインパクトがあるとみられた。
万博を推進する日本維新の会は早速反発し、馬場伸幸代表は高市氏に対して、
「政治家の信念で延期を言い続けるなら、辞職すべきだ」
高市氏は維新が勢力を伸ばす衆院奈良2区の選出であり、両者の対立が注目されている。ところが高市氏は、
「能登半島の復興に影響が出ないよう、十分配慮いただける態勢を整えてもらった。首相を信頼してお任せしたい」
と述べ、すぐに矛を収めてしまった。高市氏は1月27日の長野市での講演で、1月16日に岸田首相と面会した際に能登半島地震の復興を優先すべきだと伝えた、と明かした。首相から1月26日に「被災地復旧には支障が出ないように配慮する」との電話があったという。
高市氏は閣内にいるにもかかわらず昨年11月には勉強会を立ち上げるなど、総裁選を睨んだ動きを活発化させているが、「政治家としての発言」をしながらあっさり引き下がることを繰り返すようであれば、自民党内での支持は広がらないだろう。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)