昨年の東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反事件で、買収などの罪で起訴された柿沢未途前法務副大臣(東京15区)=自民党を離党=が、2月1日に議員辞職した。これにより、4月28日投開票の補欠選挙は、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、派閥の政治資金規正法違反事件を受けた谷川弥一前衆院議員の辞職に伴う長崎3区と東京15区の3選挙区で行われることになる。
政局に与える影響が大きい東京15区の補選を睨み、作家の百田尚樹氏が率いる日本保守党は2月1日に緊急執行部会議を開いて、「東京江東支部」の設立を決めた。
同党事務総長の有本香氏はXに、次のように投稿し、候補者擁立に強い意欲を示した。
〈江東区は東京の中でも成長著しいところであるにもかかわらず、自民党の衆議院議員が2代続けて『カネ』の問題で逮捕起訴されました。江東区からこのような腐敗した政治風土を一掃しなければなりません〉
日本保守党は百田氏と有本氏の存在感は目立つものの、永田町ではほとんど注目されていない。というのも、百田氏と有本氏は候補者として次期衆院選に出馬すると表明していないからだ。「党のトップが選挙に出ないなんてありえない」と、自民党幹部は冷ややかに見ている。
そうした中での、江東支部の立ち上げ表明。手術明けの百田氏は難しいだろうが、有本氏が出馬するとなると、一定のインパクトがあるかもしれない。
もっとも、小池百合子都知事の出馬も取り沙汰されている。「保守」を自認する女性2人の神経戦が展開されそうだ。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)