次の衆院選挙をめぐり、東京都選挙区の水面下では、魑魅魍魎の腹の探り合いが行われている。政界関係者が明かす。
「実は小池百合子都知事が出馬を模索しており、今の状況では6対4で出馬の可能性が高いといいます。では、出馬するならどこからか。10増10減により選挙区が増える東京新28区、そう、都知事の自宅がある練馬区だとされます」
しかし自民党都連にすれば、今は都議会内で激突こそしていないものの、小池氏にはボコボコにされた過去もあり、怨念が渦巻いている。それだけに、国政復帰などもってのほか、との空気が満ちているのだ。
新28区では、自民党と連立与党を組む公明党も、独自候補擁立に動いている。与党担当記者が言う。
「公明の国政選挙での比例得票数は、2005年衆院選の約898万票をピークに、減少傾向にあります。昨年の参院選も約618万票で一昨年の衆院選から約93万票も減った。背景には、最大の支持母体である創価学会の支持者に高齢者が多くなってきたことであり、コロナによる活動制限も足枷になっています。組織維持と議席維持のためには、友党の自民が嫌がっても選挙区での議席を確保したいと、なりふり構わず動き出しているわけです」
当然、自民党も黙ってはいない。与党関係者が続けて明かす。
「新28区には、元東京五輪担当相の丸川珠代参院議員に、鞍替え出馬説が浮上しています。自民が公明の選挙区出馬をよしとしていないため、にわかに擁立が取り沙汰されている公明の高木陽介政調会長が出たとしても、丸川氏を引っ張り出す可能性はありますね」
ところで、当然ながら小池氏はまだ来年の都知事選まで、任期を残している。いったいどういう大義名分をブラ下げて、国政に復帰しようというのか。都庁関係者がこう笑い飛ばす。
「11年前、石原慎太郎都知事は4期目の途中で辞任し、国政に復帰しました。その時の理由は『東京の根っこの問題の解決のためには、国を変えなくてはならない』というもの。小池氏も似たような論理で、いくらでも辞められますよ」
小池氏が新28区から出馬した上に、高木氏や丸川氏も出馬となれば、全国最大の激戦となる可能性は高い。5月のサミット直後の解散説も流れる中、小池氏らの動向から目が離せないのである。
(田村建光)