“あなたは健さんと文太兄ィのどちらが、なぜ好きですか?”。北は北海道、南は沖縄まで、50歳以上の男性、約1000人を対象に、こんなふうに問う「究極の人気アンケート」を実施した。すると何とも意外な結果となったのだ。
ともに、昭和映画界で「男が惚れる男」として人気のあった2人だけに、アンケートも真っ二つに分かれるかと思われたが、約1000人の有効回答による結果は、健さん派837票、対して、文太兄ィ派220票と、健さんが大差をつけて圧勝した。
映画評論家の秋本鉄次氏は、結果を、こう分析する。
「健さんは、コンスタントに映画出演を続けるなど、亡くなるまで、俳優として生涯現役にこだわった。かたや、文太さんは、2003年に公開された『私のグランパ』が最後の主演作で、12年には俳優業の引退を宣言。その晩年は有機農業や社会活動に傾倒するなど、メディアへの露出が激減。政治に例えるなら健さんは与党で、文太さんは野党。今は正統派路線が受け入れられる時代なので、このような大差になったのではないでしょうか」
アンケートの回答を見ても健さん派の理由として、
「ストイックな姿勢でひたすら役者として王道を邁進したところ」(関西・50代)など、俳優・高倉健として天命を全うした、その生き方に共感する声が目立った。また、「プライベートの様子がほとんど知られておらず、ミステリアスなイメージも魅力」(四国・60代)といった声も多数寄せられた。
さらにかつて東映撮影所に勤務していたという東北在住の70代男性は、寡黙なイメージの健さんについてこんな証言をしてくれた。
「30年以上前ですが、丹波哲郎さんに催眠術を教えてもらった健さんが、さっそく、共演者やスタッフに試してました。おちゃめな一面もあり、裏方にも分け隔てなく接してくれる、とても気さくな方でしたね」
一方、文太兄ィ派からは「男気あふれる反骨精神が魅力」という意見が多数寄せられた。
「洗練された様式美を持つ健さんに対し、文太さんはアウトローで荒削りなところがあって、完璧じゃないんだけど、そこが人間味があって共感できる」(北海道・60代)
「『仁義なき戦い』の『弾はまだ残っとるがよう』やテレビドラマ『北の国から』の『誠意って何かね?』など、強く印象に残るシーンが多く、骨太な演技に男らしさを感じる」(東北・50代)
「晩年はすっかり白髪姿になってしまったが、ありのままをさらけ出す自然体の姿勢に日本人の美徳を感じた」(九州・60代)
日本中に広がった2大スターの訃報への「万感の思い」は、当分鎮まりそうにない。