視聴者をアッと驚かせた「問題シーン」。自らが出演したそんなドラマを振り返ったのは、秋野太作である。「男はつらいよ」「必殺仕掛人」「熱中時代」など、数多くの代表作を持つ俳優だが、俳優で演出家の丈(旧芸名・小野寺丈)がMCを担うYouTubeチャンネル〈丈熱BAR〉で俎上に載せたのは、中村雅俊が主演し、自身もメインキャストとして出演した「俺たちの旅」(日本テレビ系)だった。
「カースケ」こと中村演じる津村浩介、「グズ六」こと秋野演じる熊沢伸六、「オメダ」こと田中健演じる中谷隆夫の3人の若者を中心に描いた群像劇。放送開始は1975年10月5日で、当初は2クール(半年)の予定だったが、視聴率が好調なことから、1年に延長となる。1985年、1995年、2003年には続編のスペシャルドラマが放送された。
「1話目で女優さん、誰だかわからないですけど、更衣室で着替えてるシーンがあって。今見ると、ちょっとドキッとしますね」
丈がそう話を振れば、秋野が答える。
「今じゃなくてもドキッとしたらしいよ。あれは青少年向けの番組だから。日曜(午後)8時の日テレの番組だから、大河ドラマがNHKで(裏で)やってるからさ、民放、何やってもかなわないんだよ。ニッチなお客さんを求めて、高校生とか中学生を狙って作るんだ。それが青春ものなんだ。(「俺たちの旅」は)高校生、大学生くらいを狙うようになった。それで『ポロッ』だから、みんなドキッとしたんだ。金沢碧(かなざわみどり)さんって人だね」
金沢はドラマ「北都物語」(1975年)のヒロインとしてデビュー。同年に「東京湾炎上」で映画初出演し、ベッドシーンにも挑んでいる。
この他に明かされたのは、撮影3日前になってようやく秋野の出演が決まったことなど、驚きのエピソードだ。古き良き昭和の時代なのである。
(所ひで/ユーチューブライター)