大団円で打ち上げた巨人の宮崎キャンプ。戦力の拡充をうかがわせ、今季こそペナント奪回だとG党たちは確信を深めている。ところが、かの地でアサ芸が目撃した〝新指揮官〟はなぜか浮かぬ表情ばかりで‥‥。
2月10日夕刻、「ひなたサンマリンスタジアム宮崎」の出入り口には、大勢のファンが詰めかけた。翌日に紅白戦を控え、高鳴る気持ちを抑えきれないファンがお目当ての選手の出待ちをしていたのだ。その中には子供も多く、「サインください!」と可愛らしい声を上げると、選手も顔をほころばせて応じていた。少年たちに夢を与えるのも、プロ野球選手の大事な仕事である。
取材を忘れて微笑ましい光景を眺めていたのだが、阿部慎之助監督(44)には我が目を疑ってしまった。あらかじめ書いておいた自筆のサイン色紙を配るのは、時間短縮のため仕方ない。それにしたって、その「塩対応」は何とかならないものか。まるで群衆に親の仇でも見つけたかのようで、色紙を受け取る側が困惑する仏頂面。相手が子供ならトラウマになりかねないほどだ。色紙を配り終えたら愛想もなくさっさと移動車へと乗り込んでしまった。
そして数十分後、阿部監督の不機嫌ぶりは、ひとりの男の存在によって、より際立つことに‥‥。そう、臨時コーチとして参加していた松井秀喜氏(49)だ。
松井氏が宮崎キャンプを訪れるのは6年ぶりだけに、ファンも待ち望んでいたのだろう。帰路につく松井氏に老若男女が殺到し、サインをおねだり。即席サイン会を開催したのだ。
もちろん松井氏はイヤな顔ひとつ見せない。疲れていただろうに‥‥。何せこの日は昼間からファンイベントに引っ張りだこで、出身地である石川を襲った能登半島地震へのチャリティー活動を展開。ファン1000人以上が集まり、列をなして募金をすれば、ひとりひとりとハイタッチを交わす。実は、記者も現役時代の松井氏に胸を焦がしたクチで、ちゃっかり募金の列に並んでしまった。
金額の多寡は問わずハイタッチできるというのに、次々と紙幣が投じられていくのにつられて、つい5000円札を募金箱へ投げ込んでしまった。おかげで昼メシを抜いたが、満面の笑みの松井氏と交わしたハイタッチは、まるでホームラン後にベンチで迎え入れた場面のようでプライスレス、微塵も後悔はない。
まさに、好対照な2人を目の当たりにしたのだった。ファンから「松井とは真逆だな」との声が上がるのも無理はない。阿部監督もファンの前では松井氏のように振る舞うべきではないか。いや、単に虫の居どころが悪かっただけなのか?
「クローザー候補の大勢(24)が右ふくらはぎ痛でキャンプイン早々に離脱、さらに即戦力と見込んでいた昨秋ドラフト2位の森田駿哉(27)も左ヒジの炎症で故障班入り。シーズン前から〝投壊〟の兆候が表れているだけに、阿部監督も心中穏やかではいられないようです」(巨人担当記者)
春季キャンプのキャッチフレーズは「笑う阿部には福来る」。悪い冗談のように思えてならない。