おそらくこの2人が「まだ離婚していなかったの?」と思った人は多いのではないだろうか。
昨年10月、川崎麻世と妻・カイヤとの離婚がようやく成立した。川崎は10月19日、事務所を通し、裁判によって離婚届が受理されたと報告。カイヤは21日のブログで、離婚届受理はマスコミを通じて知ったとして、次のように綴ったのだった。
〈裁判は本当に大変でした、言葉の壁や、日米の価値観の違い、思っている事や伝えたいことが残念ながら届きませんでした PS. 出会ってから一週間の間まで、あなたは本当に素敵でした。さよなら、麻世〉
その文面に改めて2人の間の深い確執と、言葉では言い表せない愛憎を感じたものである。
2人は1990年に結婚。以降、三十数年にわたるすったもんだの末、2017年に川崎が離婚を求めて裁判所に提訴する。
この訴えに対し、カイヤは川崎のDVなどを理由に、慰謝料を求めて反訴していた。判決では離婚は認められたものの、カイヤが主張する慰謝料については棄却され、彼女にとっては後味の悪い判決となったようだ。
川崎の記者会見で最も有名なのは1993年7月15日、斉藤由貴との不倫報道を受けて、カイヤ同席で行われたものだろう。筆者もその日、この会見を取材した。
川崎が座る左側の壁にもたれ、白いTシャツにジーンズ姿で腕を組み、仁王立ちのカイヤ。夫の一挙手一投足に厳しい視線を送る彼女の姿に、背筋がゾクッとしたことを憶えている。
そんな騒動から7年後の1999年に発売されたのが、川崎の著書「カイヤへ!」だった。その内容はすさまじいもの。
例えば妊娠のくだりでは、避妊具を体に「装着」しているカイヤから「99%妊娠の心配はない、副作用もない」と告げられ、その言葉を信じたら妊娠5カ月だと告げられて結婚。ただ、夫婦喧嘩の際には彼女が運転する車にはねられて「今も右手親指に残る傷痕は、その時、ミラーが割れて深く突き刺さった時に出来たもの」であるとか、目が動かなくなり病院へ行くと「疲れとストレスが原因で両目の角膜がはがれている」と診断されたとか。
しかもその夜、またも夫婦喧嘩が勃発し、「後頭部をぶつけられて僕の頭部が割れて出血」。そして病院に運ばれる救急車で「薄れゆく意識の中で、このまま、僕たちは一緒にいたら、どちらかが殺されてしまう…」などなど。
まさにとんでもない鬼嫁エピソード満載なのである。書籍化には本人はむろんのこと、読み聞かせたにせよ、カイヤもゲラには目に通しているはずだ。行間から滲み出る「ネタ」にしてはあまりにヤバすぎるエピソードに、川崎の内面にある「本音」を垣間見た気がしたものだ。
だが、彼らは三十数年にわたり、愛憎劇を繰り返しながらも、夫婦であり続けることを選択した。これを凄いと思うか、時間の無駄だと思うかは捉え方次第。いずれにせよ、川崎が著書に綴った「どちらかが殺されてしまう」なんてことにならなかったのが、せめてもの救いだったのかもしれない。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。