3月を迎え、いよいよクラシックの蹄音が響くようになってきた。
今週は皐月賞の前哨戦・弥生賞ディープインパクト記念(3着馬までに優先出走権が与えられる)が中山のメインとして行われる。
実績的にはGⅢ京都2歳Sを制し、GⅠホープフルSで僅差2着のシンエンペラーが最有力候補とみられているが、その他も顔ぶれはよく、将来性豊かな素質馬ぞろいの一戦である。
ホープフルSの3着馬サンライズジパング、東スポ杯2歳Sで2着したシュバルツクーゲル、デビューから2連勝中のダノンエアズロック、トロヴァトーレ、ファビュラススター、京成杯で2桁人気ながら5着に好走したニシノフィアンスといったところが人気、有力どころとみられている。
どの馬も力を秘めており、力に大きな開きはなさそうで、見応えのある激しい競馬が見られること請け合いだ。
ハイレベルな争いだけに馬券的には難解な一戦。まずは過去のデータをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は2回)。1番人気馬は9勝(2着7回)、2番人気馬は4勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は5回あり、比較的順当に収まるレースとみてよさそうだ。
とはいえ、1、2番人気が連絡みせずに大きく荒れることもままあるだけに、有力各馬の値踏みはしっかりしておきたい。
いずれにしても、ここで勝利を収めて以降、大きく羽ばたいた馬は少なくない。05年のディープインパクトを筆頭として06年アドマイヤムーン、09年ロジユニヴァース、10年ヴィクトワールピサ、11年サダムパテック、15年サトノクラウン、21年タイトルホルダー、昨年のタスティエーラと枚挙にいとまがない。
前述したように今年はハイレベルで層が厚い。今後を占う上でも目の離せない3歳重賞だが、もろもろ考慮した上で、最も期待を寄せてみたいのは、サンライズジパングだ。
東京の芝1800メートル戦でデビューしたものの、未勝利を勝ち上がったのはダート戦(阪神1800メートル)。それも4馬身差の圧勝とあって引き続きダート路線を歩ませたが、昨秋に行われたカトレアSは15着とブービー負けを喫した。そこであらためて芝にホコ先を向けるや、2桁人気ながらホープフルSで3着に好走。続く前走の若駒Sは、道悪ながら強烈な末脚を披露して完勝した。
こうしてみると、明らかに芝向きの馬で、まだノビシロ十分なことを思えば、ここでも間違いなく好勝負になっていい。
この中間は、いたって順調。稽古の動きもリズミカルで、音無調教師も「雰囲気がよく、状態は明らかに前走以上。地力強化してきており、強敵相手でも楽しみ」と、仕上がりのよさに期待感をにじませる。であれば、チャンスは大いにあるとみていい。
母系は欧州(特に仏国)の一流血脈。晴雨にかかわらず期待大だ。
穴中の穴は、アドミラルシップだ。前走のゆりかもめ賞は7着と1番人気を裏切ったが、2走前のホープフルSでは、キャリア1戦ながら見せ場たっぷりの4着。力は秘めており、あらためて注目すべきである。
前走と違って、この中間は落ち着き払って好気配。〝一発〟があっても不思議はない。