(株)イーブックイニシアティブジャパンが2014年の電子書籍年間ランキングを発表した。マンガランキングのTOP10は以下のとおり──。
1位「進撃の巨人 attack on titan」諫山創
2位「宇宙兄弟」小山宙哉
3位「テラフォーマーズ」作:貴家悠 画:橘賢一
4位「東京喰種トーキョーグール リマスター版」石田スイ
5位「キングダム」原泰久
6位「七つの大罪」鈴木央
7位「銀の匙Silver Spoon」荒川弘
8位「闇金ウシジマくん」真鍋昌平
9位「亜人」桜井画門
10位「弱虫ペダル」渡辺航
「進撃の巨人」は、突如現れた巨人に追いやられた人類の反撃物語。昨年のアニメ化に続き今年は劇場版も公開。来年には実写化も予定されているので、巻数も15巻なので、未読の人は今から読んでも十分間に合う。
「進撃──」のスゴさは、壮大な戦闘シーンやイケメンキャラだけではない。「政治の視点」でもオトナを虜にしているのだ。
作中の世界では王政が敷かれており、保守派と革新派の対立がある。右翼×左翼、保守×革新が描かれているため、保守とは何か、革新とは何かを理解する良い教材にもなりそうだ。
「宇宙兄弟」は、非イケメンの主人公・六太が、優等生で美形の弟に劣等感を抱きながら、同じ宇宙飛行士を目指していくストーリー。面白さの秘密はなんといっても数々の名言だろう。
「本気の失敗には価値がある」「俺の敵はだいたい俺です」「一位と最下位との差なんて大したことねーんだよ、ゴールすることとしないことの差に比べりゃ」‥‥。
不器用ながら少しずつ成長してゆく六太の姿を自分と重ね合わせれば、明日への活力になること間違いなし。
「テラフォーマーズ」は、火星のテラフォーミング(地球化)の過程で生まれた人型ゴキブリとのSFバトル漫画。ゴキブリが人間と同じカタチになったことで不快感がパワーアップ。とにかくキモい! 人類のほうもその力に対抗すべく、虫の能力を取り込む手術によって改造人間に変身。スリル溢れる戦闘とホラーな展開、キャラクターの能力にドキドキ感が止まらない。
グロテスクさなら「東京喰種」も負けてない。こちらは、人の姿をしながら人肉を喰らうことで生きる怪人「喰種(グール)」をテーマにしたダーク・ファンタジー。喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう主人公カネキ。それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることになる…のだが、現在、連載中の「ヤングジャンプ」では、あれ? 主人公はどこに!?状態。これまでのマンガにはなかった「斬新な手法」に驚嘆する前に、全巻読破しておくことをお勧めする。
全男子と歴女は必読なのが「キングダム」。都内の書店ではデカデカと「世界で一番面白いマンガ」と書かれていたが、あのインテリ女子の勝間和代までも「絶対読むべき」と絶賛しているほどだから、けっして大げさではない。
中国の歴史モノといえば、「三国志」が有名だが、舞台は少し前の7カ国が覇を競っていた春秋戦国時代。若き日の始皇帝と天下の大将軍を目指す信の中華統一への道が描かれている。
圧巻なのは、秦VS「6カ国の合従軍」の戦い。なぜこんなドラマチックな戦いが、これまでほとんどエンターテインメントの世界で描かれてこなかったのかというと、それは当時の資料が少なすぎるため。
しかし、作者は徹底的に歴史資料を紐解き、さらに自分の想像を最大限に膨らませている。序盤の人気キャラクターである大将軍・王騎など、歴史書にはたったの3行しか出ていないというのだから。
個性的な武将たち、緻密かつリアルな戦術描写、政権闘争‥‥男のワクワクが全て詰まっている。
年間ランキングはマンガだけでなく、少女コミック、ライトノベル、小説・文芸、趣味・実用書など、あらゆるカテゴリーに及んでいる。
小説部門ではTOP10の中に、「半沢直樹」シリーズが4作ランクイン。1位の「銀翼のイカロス」は、2位の「ロスジェネの逆襲」の続編。JALをモデルにした倒産危機が舞台で、民主党や蓮舫議員、前原誠司議員がモデル…と言われている。“フィクションをもとにしたノンフィクション”として見ると、一層楽しめそうだ。
実用書部門の注目は、小林よしのり氏の「戦争論」。
先の総選挙では安倍自民が圧勝。今後、「集団的自衛権」「憲法改正」が注目されることは必至。この際、「戦争とは何か」知識を研鑽しておいて損はない。
冬の寒さが厳しい年末年始、家から一歩も出ずにこたつでヌクヌク電子書籍をダウンロード、というのはいかがか。