鈴木誠也のメジャー移籍以降、「4番打者」が不在だった広島カープに、ついに待望の大砲が生まれそうだ。
「ポスト誠也」の筆頭候補に躍り出たのは、2021年のドラフトでカープから4位指名を受けた田村俊介だ。2022年は2軍公式戦43試合に主に外野手として出場し、打率1割8分5厘、0本塁打、11打点とプロの洗礼を浴びたが、2023年は1軍キャンプを完走。ケガなどもあり、1軍公式戦はわずか10試合の出場にとどまるも、打率3割6分4厘を記録した。
今季はパワフルなスイングと優れたバットコントロールが首脳陣の目に止まり、3月6日、7日に行われる侍ジャパンの強化試合・欧州選抜戦のメンバーに抜擢された。井端弘和監督がキッパリと言うには、
「次のWBCなのか、次のオリンピック予選やオリンピックなのかはわかりませんが、いずれ必ず代表に入ってくる選手だと思います」
元ヤクルトで北京五輪代表のキャプテンを務めた宮本慎也氏も、もろ手を挙げて大絶賛だ。
「注目してほしいのは田村(俊介)です。これやりますよ、多分。これはやります。ほぼ実績ないのに(侍ジャパン)選ばれたじゃないですか。将来的には3割30発、目指していいバッターですね。力あるんですよ。打ち方もいいですね。これなかなかいいですよ、マジで」
田村は愛工大名電高校時代、1年春からベンチ入りし、夏からエースとして登板。3年時には甲子園に出場したが、1回戦に先発登板して敗れている。試合後に二刀流でのプロ志望を明言したが、通算32本塁打を誇る非凡な打撃センスを買われ、カープでは左の大砲として期待されている。
「東海地方を担当する松本有史スカウトはこれまで、堂林翔太、菊池涼介、栗林良吏、西川龍馬、野間峻祥、床田寛樹らを発掘しています。松本スカウトは田村について『坂倉と西川を足して2で割ったような選手』と評価し、太鼓判を押していますね。地元の中日にしてみれば、惜しい人材をみすみす獲られたといっていいかもしれません」(スポーツライター)
かつては岩瀬仁紀や山井大介や浅尾拓也など、地元の逸材をガッチリ押さえていた中日。最近は数こそ多く指名しているものの、なかなかチームの顔になる選手は育っていない。近い将来、田村が日本代表の4番を務めるようなことがあれば、地元の中日ファンは地団駄を踏んで悔しがることだろう。
(ケン高田)