芸能

里見浩太朗「1期先輩の高倉健さんもいた」/テリー伊藤対談(2)

テリー それがどうして東映に入ることに?

里見 ある日、その築地の叔父さんの家に「東映第三期ニューフェイス受験通知」っていう封筒が来たんですよ。それで「こんなの誰が出したんだ?」って調べたら、お世話になっていたお家の高校1年生のお嬢さんだったんですね。

テリー 里見さんが格好いいから役者に向いてると思ったんですね。

里見 いや、「何でこんなことしたの?」って聞いたら、「えへへ、シャレよ、シャレ。佐野君は歌い手になりたいんでしょ。歌い手も俳優さんも同じだから行ってらっしゃいよ」って、こんな調子なんですよ。それで、その受験日に大泉の東映(東映東京撮影所)に行ったんです。朝の10時集合で、9時に池袋から西武池袋線に乗りましてね。

テリー よく覚えてますね。

里見 そうしたらビックリしたんですよ。ニューフェイスを受ける人がたくさん乗ってるから、電車内が美男美女ばっかりで。「いやぁ、東京ってこんなに美男美女が多いのか」と思って、とてもじゃないけど僕なんか恥ずかしくなりましてね。電車を降りても行く気にならなくて、電信柱に寄りかかってどうしようか考えていたんです。

テリー すっかり自信をなくして。

里見 その時に「どうしたんですか? 具合でも悪いんですか?」って声をかけてくれた女性がいたんですね。それで、「いや、東映のニューフェイスを受けに来たんだけど、自信がないから行くのをやめようかと思ってるんですよ」って言ったら、「あなた、どこから来たか知らないけれど、役者さんと言ったって色々あるでしょう。ここまで来て、なぜ帰るんですか。受かる受からないは別として行きましょうよ」って言ってくれたんですよ。

テリー 背中を押してくれたんですね。

里見 ええ。それで、「ああ、そういう考えもあるのか」と思い直して、東映の門をくぐったんです。

テリー 試験っていうのは、例えばセリフを言ったり?

里見 そうですね。セリフは紙キレでくれまして、男性には女優さん、女性には男優さんがセリフ合わせをしてくれましたね。1期先輩の高倉健さんもいらっしゃいましたよ。あとはパントマイムや歌があったり、水着の審査もありました。「何で男が水着になるんだよ」って思いましたけど(笑)。朝10時に始まって、終わったのは2時ぐらいでしたね。

テリー その時はどのぐらい受けに来てたんですか。

里見 どうでしょう。200人ぐらいでしたかね。300人ぐらいかもしれません。それで試験が全部終わったら、「はい皆さん、門の前の広場にお集まりください」って言われて、「今から名前を呼びます」と。ところが、ついに僕の名前は呼ばれなかったんですね。

テリー ええっ、落ちたんですか?

里見 いや、そうしたら「今、名前を呼んだ方はお帰りください」と。不合格の人の名前を呼んだんです。

テリー ああ。ビックリしました(笑)。

里見 それで100人ぐらい残ったのかな。で、「この残った方は第一次試験は合格で、これから二次、三次試験が本社であります」と。それで、本社ではプロデューサーや監督がたくさん来て、「どんな俳優さんが好きか」とか「最近見た映画」とかの質疑応答があって、その2週間か3週間後に「トウエイダイサンキニューフェイスニゴウカクス」っていう電報が来たんですよ。

テリー その時受かったのは何人だったんですか。

里見 男性10人、女性20人の30人です。毎年そうだったみたいですね。それで新人は4月から俳優座に入って、6カ月間勉強するんです。

ゲスト:里見浩太朗(さとみ・こうたろう)1936年、静岡県出身。高校を卒業後に上京。1956年、「東映第三期ニューフェイス」として芸能界入り。翌年、映画「天狗街道」で本格デビュー。1958年、映画「金獅子紋ゆくところ」にて初主演。以降、数多くの東映時代劇に出演、その後はテレビ時代劇に進出した。中でも「水戸黄門」(TBS系)や「長七郎江戸日記」(日本テレビ系)は代表作となる。3/14(木)~22(金)まで、名古屋・御園座三月特別公演「水戸黄門」を上演。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
大谷翔平「MVP受賞映像」で「真美子夫人の妊娠説」が噴出したワケ
2
「反大谷翔平」の上原浩治に「直球質問」をぶつけたら返ってきた「絵文字」が…
3
東京ドームで観客半分の「プレミア12」にサッカーファンが「シラケる」挑発バトル
4
なんだこりゃ!岡田将生の電撃結婚を「完全スルー」した「めざましテレビ」の担当は元カノ鈴木唯アナ
5
「メジャー挑戦」佐々木朗希はドジャース入りでなく千賀滉大や前田健太のように孤軍奮闘せよ