京都に観光客が戻ってきた今、再び問題となっているのが観光公害だ。私有地に勝手に入って写真を撮る、あるいは騒音、公共交通機関の混雑や渋滞など、インバウンドによるオーバーツーリズムに、地元住民からは「生活を脅かされるレベル」との悲鳴が上がっている。
中でも問題視されているのが、ゴミのポイ捨てだ。京都市内ではポイ捨てをしたら3万円以下の罰金、という条例があるが、市内を歩いていると、タバコのポイ捨てやドリンクのプラスチックカップなど、放置された様々なゴミを見かける。地元観光業者に話を聞くと、
「嵐山や錦市場など、町中の至るところに食べ歩きができる店があり、それが京都のウリにもなっています。オーバーツーリズムの問題で、飲食店は予約しないと入れないため、食事は食べ歩きで済ませる人も多い。そこで問題になってくるのが、ゴミなんです」
観光客が食べ歩きをする際に出るゴミ。町中にゴミ箱があればいいのだが、少ないのが現状だ。観光業者が続ける。
「外国人が多いため、テロ対策の一環で町中にゴミ箱がほとんどないんですよね。ゴミ箱を置いてもすぐにいっぱいになってしまったり、入り切らなかったゴミが周辺に放置されてしまうことも。近隣住民からの苦情で、ゴミ箱を撤去したエリアもあります。昨年10月から嵐山で通常の5倍の量を圧縮し、収容できる『スマートごみ箱』を導入しました。ゴミ問題の解決に少しはつながるかと思ったのですが、それでも市内ではまだまだ数が足りていない状況です」
たとえゴミ箱の数を増やしたとしても、こまめに処分しないとすぐに満タンになってしまう。これから花見シーズンに入り、さらに町中にポイ捨てされたゴミがあふれるおそれがある。一刻も早い対策が必要なのだ。
(京野歩夢)