あの方が在任中に有事が起きたら日本は滅亡する
「犯す前に、これから犯しますよと言うか」。事務方の暴言は、あくまで〝引き金〟にすぎなかった。相次ぐ失言、失態が原因で、一川保夫防衛大臣への問責決議案が可決された。やはり、“あの男”が黙っていなかった。元防衛大臣にして、「軍事オタク」とまで称される安全保障の論客が「問責大臣」をメッタ斬りにする。
田中聡前沖縄防衛局長(50)の大失言。いや、あれは失言じゃないかもしれない。ふだんから考えていなければ、あんな言葉は出ないでしょう。失言にしろ、本音にしろ、論外であることに変わりない。
しかし、今回の問責決議は前局長の失言だけが問題ではありません。いろいろなことが積み重なってのことなのです。
ブータン国王の宮中晩餐会を欠席して、民主党議員のパーティに出席する。しかも、その席で
「(晩餐会より)こっちのほうが大事だと思った」と言った。これは、ウケ狙いでしょう。言っていいことと悪いことがある。
また、あの人は「(95年の沖縄米兵少女暴行事件について)詳細には知らない」と話したり、そのあとも「責任を問われる致命的なものはない」とも言った。もう、これだけそろえば十分でしょう。
そもそも、防衛大臣就任時の「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール」という発言を聞いた瞬間に、私は実にけしからんと思った。問責どころか罷免に値すると思っていました。
こう話すのは、自民党の石破茂衆議院議員(54)だ。小泉内閣で防衛庁長官、福田内閣で防衛大臣を務めた。言わずと知れた安全保障のスペシャリストである。
そんな石破氏を怒り心頭にさせたのは、一川保夫防衛大臣(69)。12月9日、自民・公明が提出した問責決議案が参議院で賛成多数で可決された。しかし、直後には辞任する気もないことを表明している。
この事態はいつか見た光景でもある。菅内閣でも、当時の仙谷由人官房長官(65)と馬淵澄夫国交大臣(51)への問責決議が通った。ところが、野党から審議拒否をされても、辞任することなく内閣改造で2人は姿を消した。
今回も国会は閉じ、似たような事態が繰り広げられるのだろうか。
皆さんに「また自民党が党利党略でやっている」と思われないで、「それはそうだよな」と、「問責は当然だよな」と思ってもらえるかどうかが大事なのです。確かに、一川大臣を問責して、野田内閣にダメージを与えようという考え方もあるでしょう。結果としては、ダメージになるんだろうけど、今回は「政争の具にしてけしからん」という論調はない。
それはそうでしょう。明日にでも有事が起きたとして、あの人が防衛大臣だったら怖くはないですか。今年の東日本大震災から得た教訓は、政治家は「想定外」などとは言ってはいけないということです。明日、有事が起こっても、「想定外」では済まされない。国が滅びるかもしれない。だから、あの人は1日でも早くお辞めになるべきです。さすがに皆さんも、そう思い始めたということなのではないでしょうか。