先週末にフラワーCとスプリングSが行われ、桜花賞と皐月賞の主要な前哨戦が終わった。いよいよクラシックが目前に迫ってきたが、同時に今週から春のGⅠ戦がスタートを切る。
高松宮記念は春のスプリント・チャンピオンを決定する一戦。ノビシロある将来性豊かな実績を備えた素質馬がそろっており、目の離せないファン必見のGⅠ戦である。
今年は顔ぶれが実にいい。既成勢力は、前走の東京新聞杯2着で健在ぶりをみせつけたウインカーネリアン、重賞2連勝中のウインマーベルとトウシンマカオ、常に堅実な走りをみせているナムラクレア、昨秋のスプリンターズS1、2着馬のママコチャとマッドクール、さらに香港から殴り込みをかけてくるGⅠ馬ビクターザウィナーといったところだろう。
新興勢力もまたすごい。昨年のNHKマイルCを制したシャンパンカラー、京都牝馬Sを勝ったソーダズリング、オーシャンSの2着馬で中京コースは2戦2勝のビッグシーザー、シルクロードSを快勝したルガルといった面々だ。
これはもう目移りするばかりで、どう絞り込んでいくか、それだけで至難の業である。
まずはデータをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、1番人気馬は4勝(2着3回)、2番人気馬も4勝(2着7回)で、馬単での万馬券はなんと9回(馬連は5回)もある。
このように下馬評どおりの結果で終わることは少なく、順当に収まりづらいGⅠ戦とみるべきだろう。
年齢的には充実著しい5歳馬が10勝(うち牝馬3勝)2着8回(うち牝馬3回)と他の世代を大きく上回っている。
ちなみに5歳馬に続くのが6歳馬の4勝(同0勝)2着8回(同1回)。4歳馬は3勝(同0勝)2着5回(同4回)で7歳以上は4勝(同0勝)2着0回という成績だ。
圧倒的な強さをみせている5歳馬は出走頭数の多いこともあるが、それにしてもすごい。今年もウインマーベルやトウシンマカオなど7頭が出走を予定しており、まさに目が離せない。
もろもろ考慮した上で主軸に据えたいのは、ナムラクレアだ。
昨年の2着馬で人気の一角。穴党らしくない本命だが、何しろ走れる条件がそろっている。
前走の京都牝馬Sは、ハナ差の2着惜敗。しかし4カ月半ぶりの実戦で体重も前走比10キロ増。余裕残しの状態で結果を出したのだから、休み明けを一度使われた本番では注目せざるをえない。
しかも中京は〈1 1 0 0〉と得意の舞台で全5勝がすべて芝の6ハロン戦。昨秋のスプリンターズSでも少差3着しており、実績は文句なしだ。
また、陣営のヤル気のほども伝わってくる。1週間前の追い切りは実にリズミカル。追ってからの反応も鋭かった。
「体に張りがあって、たくましくなっている。昨年以上」と厩舎スタッフが口をそろえるのもうなずける。
3代母は仏GⅠモルニー賞(6ハロン戦)の勝ち馬で、バゴ(凱旋門賞などGⅠ5勝)のほか近親、一族に活躍馬がキラ星のごとくいる血統馬。
道悪も上手なだけに、晴雨にかかわらず勝ち負けになっていい。