関根勤の名が世間に知れ渡ったきっかけのひとつに「カマキリ拳法」がある。1975年から1986年まで放送されたバラエティー番組「カックラキン大放送!!」(日本テレビ系)を覚えているだろうか。
野口五郎が刑事役のパロディーコント「刑事ゴロンボ」に、殺し屋として登場するラビット関根(当時)が毎度、破天荒な動きで「カマキリ拳法」を炸裂させたのだ。「バカバカしいと、思うなよ。やってる本人、大マジメ」と言いながら対峙するのだが、結局、野口のパンチで呆気なく倒れてしまうのだった。
その関根がものまねタレント・神奈月のYouTubeチャンネル〈神奈月のカンチャンネル〉に登場すると、「カマキリ拳法」にはモデルがいたと明かしたのだ。
それはなんと、深作欣二監督の映画「県警対組織暴力」(1975年)に暴力団員役で出演した川谷拓三で、
「刑事(役)の菅原文太さんに、メチャクチャ食ってかかるわけ。(別のシーンで)『また来たのか、このボケ刑事が!』ってワーッてやったら、文太さんがバーン、バーンって殴って蹴飛ばして、川谷さんがあんなに吠えてたのに、1分後に土下座して泣いてんのよ。この落差は何なんだと思って。がなってて弱いっていいなと思って」
さらにはアニメ番組「空手バカ一代」(1973~74年)に、中国拳法の蟷螂拳を「カマキリ拳法」と呼ぶ使い手が登場したこともヒントに、
「蟷螂拳っていっても、ちびっ子はわからないじゃない。カマキリ拳法ってこの響き、いいなぁと思って」
関根が「カックラキン」にレギュラー出演を始めたのは1977年。まさに1本の映画とアニメ番組が人生を変えたと言っても過言ではないのだ。
(所ひで/ユーチューブライター)