一方、心霊研究家兼放送作家の新倉イワオ氏が手がけた「お昼のワイドショー」(日本テレビ系)の名物企画が「あなたの知らない世界」だった。
「木曜日の『あなた─』を夏休みに見てハマりましたねぇ。まず『新倉イワオ』というキャッチな名前、ボソボソとしたしゃべりが恐怖を煽るんですよ」(桐畑氏)
新倉と霊が見える(!?)宜保愛子のタッグは強烈だった。
「幽霊や心霊現象はプラズマである可能性」─こうオカルトを完全否定する物理学者・大槻義彦早大名誉教授(87)は不思議体験を心霊にこじつける宜保について「スタッフ6人(家族)態勢で事前調査をしてる」と至る所で批判し、論争となった。
「霊視はリサーチ力」と断言する徳光氏は、心霊番組での霊能者たちの巧みな話術を見逃さなかった。
「『子供の時に動物を飼っていたでしょ?』と探りを入れて、鳥を飼っていたと答えたら、『あの時のピーちゃんがあなたを心配してます』とか言うわけです。大体の人ペットを飼った経験ありますからね」
桐畑氏は心霊番組に影響された「昭和オカルトあるある」を指摘する。
「集合写真を撮る際、必ず友達の後ろに隠れて手だけを肩に置くという『心霊写真しぐさ』をやりましたよ。エグい心霊写真特集は読売テレビ制作の『2時のワイドショー』ですね」
その昭和の心霊写真について徳光氏は訝しがる。
「仮に霊界があったとして、もっとふざけた霊がいてもいい。なぜ恨めしげな霊ばかりなのか? 死者はこの世に未練を残した人ばかりじゃないハズ」
7位には「木曜スペシャル」(日本テレビ系)。同番組のディレクターでもあった矢追純一氏(88)のUFO番組が入った。
「日テレの社屋が麹町にあった頃、屋上にUFOを呼ぶ企画で親父が生中継を担当。『赤い光が点滅しながら目の前を横切っておりますが、あれは果たして空飛ぶ円盤でありましょうか!?』と実況した。僕には『UFOなんて来るわけねぇだろって』言ってたけど(笑)」(徳光氏)
「エリア51」「キャトルミューティレーション(家畜の惨殺)」など聞いたことのないUFO用語と怪しい元軍人などの目撃証言を元に構成される再現VTRが名物だったが、結局、最後まで見ても決定的な証拠は何もなく、続編をまた見てしまう、その繰り返しだった。
UFOは芸人にも多大な影響を与えたと桐畑氏。
「一番有名な『捕まった宇宙人』という写真。両脇にいるトレンチコートを着た男に小さい宇宙人が手を引かれてるアレです。僕らの世代の芸人はステージで背の低いタレントが真ん中、両脇に背の高いタレントが立つと必ず『捕まった宇宙人状態』ってネタになる」
おそらく最初に使ったのはビートたけし。Z世代にこのギャグは通じるのか?