8位は「こっくりさん」。つのだじろうの「うしろの百太郎」で紹介されて流行。集団ヒステリーを起こすなど、学校によっては禁止令が出て問題になったが、
「僕の地元では『キューピットさん』と呼ばれてました。兄と2人でやりましたが、今思えば絶対に兄が動かしていた。呪文の途中で指を離すと『十円玉から指を離しちゃダメ。お前、明日死ぬ』と脅されました」(桐畑氏)
9位の「白蛇占い」は紫頭巾の占い師・泉アツノ。
イタコの降霊儀式のようにみずからを「白蛇」に憑依させ、声を変えて白蛇になりきる。憑依が終わると、我に返り笑顔で「こんなん出ましたけど~」のお決まりのセリフは流行語となった。
トップ10ラストの登場前に、10位以下でも熱い推しがあった声を紹介しよう。
「子供の頃、素手で体内から病巣を摘出する『心霊手術』に度肝を抜かれた。今ならインチキ手術とわかるが、当時はテレビを見てフィリピンに患者が殺到した」(64歳造園業)
「〝人パンジー〟のオリバー君にはぶったまげた。人間とサルの間に生まれたという設定でテレビでは花嫁募集までしていた。エマニエル坊やよりも心に刻まれた外タレです」(61歳)
人間似のオリバー君は後に、チンパンジーに認定されている。
気を取り直そう。10位には「口裂け女」が滑り込んだ。
「聞いた話ですが、口裂け女って噂話はどれくらいの時間で広がっていくのかを広告代理店がリサーチするために仕掛けた実験という説があります。例えば地方でコーラのイチゴ味を試験的に発売したとして、どのくらいで口コミが広がるかとか。口裂け女は岐阜発祥説もあり、口コミの実験の地として日本の真ん中にある岐阜はうってつけだったのかも」(徳光氏)
確かに「整形の失敗で口が裂けた」「その執刀医がポマードを付けていたからポマードが嫌い」など、妙に設定が細かく、大人が仕掛けた臭いがプンプンするが‥‥。徳光氏はその出没時刻に注目する。
「出没するのは夕方の下校時間なんです。これは『日暮れ前に児童を早く帰宅させる』という優しさがあったのかもしれません」
令和にはパーペキ不適切でも、昭和のミステリーには不思議とほっこりメルヘンな記憶が蘇える––。