北朝鮮代表相手に3月21日にホームの国立競技場でサッカーW杯アジア2次予選を戦った日本代表。3月26日には平壌(金日成競技場)での敵地戦が予定されていたが、急転直下、中止になった。
21日の試合中にも、両国のサッカー関係者が代替地について話し合いの場を持ったが、まとまらず。中止の理由について北朝鮮側は、日本で流行している劇症型溶血性レンサ球菌感染症(人食いバクテリア)を警戒しての措置だと主張しているという。サッカー関係者が舞台裏を明かす。
「北朝鮮サイドは次戦も日本での開催をアピールしてきて、JFA関係者は激高したといいます。経済制裁を科している国の人間を特例で入国許可しているのに、これでは日本のメンツは丸潰れ。断固拒否したようです」
そうなれば、残るは中立国での開催一択に絞られる。2月には女子日本代表が試合3日前になって、平壌からサウジアラビアでの開催へと急転した経緯がある。テレビ関係者が語る。
「TBSはガッツポーズしているでしょうね。26日の平壌の試合は映像なしの前提でしたが、水面下で中継できないかを探っていて、ご破算に。それが『復活当選』できる可能性が出てきましたから」
平壌開催がなくなったことに安堵する声は、ほかにもある。さるスポーツメディア関係者が言うには、
「国交がない国の試合であり、取材を希望するメディアを募り、20人強が平壌に向かう予定でした。日本サッカー協会側による説明会では、1社が北朝鮮側から入国を拒否されたことが明らかになり、さらにサッカー取材以外での外出厳禁も言い渡されていました」
これまでも北朝鮮国内で泊まるホテルには盗聴器が仕掛けられていたり、勝手に部屋に入られた形跡があるなど、日本の常識が全く通用しないことは、潜入ジャーナリストたちが何度も報じている。
「現地で作業するパソコン、携帯電話はわざわざデータが何も入っていない物を準備していく予定でした。なんらかの形で情報が抜き取られて漏洩したら、取り返しがつかないので」(前出・スポーツメディア関係者)
警戒度はMAXだっただけに、危険を冒して取材しなくてよくなったことに、ホッとしたというのである。