誰もが我が耳を疑ったことだろう。MLB開幕のお祭りムードを一夜にして吹っ飛ばした〝国民的通訳〟の「解雇報道」。電撃結婚をはるかに超える衝撃が日米を駆け抜けた。違法賭博の底なし沼は、関わるすべての人間を吞み込んでしまうのか。すでに当局の捜査網は次のターゲットにまで伸びている‥‥。
「どうせ、球団が守ってくれるとタカをくくっているのでしょう。試合後の取材対応を巡って、球団に抗議する約40人の記者団を横目に『お疲れっした、お疲れっした、お疲れっした、お疲れっした〜』と矢継ぎ早につぶやいて米国への帰途についてしまいました」
こうあきれた口調で振り返るのは、さるMLB担当記者だ。3月21日深夜に韓国・ソウルの高尺スカイドームを逃げるように後にしたのはドジャースの大谷翔平(29)である。この日は、試合が始まる前も姿をくらましていたという。先のMLB担当記者が続ける。
「15時に報道陣向けに開放されたクラブハウスでも、関係者以外立ち入り禁止のダイニングスペースから出てきませんでした。時折、山本由伸(25)の通訳を務める園田芳大氏が報道陣の様子をチラチラ観察する素振りを見せていましたが、もしかすると大谷に逐一、状況を報告していたのかもしれません。試合前の練習も室内で済ませる徹底ぶりでした」
完全に雲隠れを決め込む理由はただ1つ。エンゼルス時代から6年間にわたって専属通訳を務めてきた、水原一平氏(39)が違法賭博に関わったとして球団から電撃解雇されたことだ。誰しもが耳を疑った。スポーツ紙デスクが解説する。
「22日時点で球団は公式に解雇の理由を明らかにしていません。その一方で、エンゼルスやドジャースが本拠地を置くカリフォルニア州で禁止されている『スポーツ賭博』で多額の借金を抱えていたことが米国メディアで大きく報じられています。さらには大谷の口座からブックメーカー(胴元)に、約6億7500万円もの大金が借金返済のために送金されたというのです。もし大谷が借金の肩代わりをしたのであれば、違法賭博をほう助したと見なされて逮捕も免れなくなるのです」
すかさず、大谷サイドは関与を全面否定。あくまで水原氏による「大規模な窃盗の被害に遭った」という声明を発表したのである。
「今年1月にFBIが南カリフォルニアで違法ブックメーカーを運営するマシュー・ボイヤー氏を捜査する過程で、大谷の送金記録を発見したのが事の始まり。その情報を得たESPNが、19日に水原氏本人にインタビューをして『合法だと思っていた』との弁明とともに『大谷が私のために返済してくれることを決めてくれた』というコメントを引き出していた。にもかかわらず、記事の制作段階で、大谷の顧問弁護士がインタビュー内容を否定するなり、水原氏による窃盗を告発したんです」
歩調を合わせるかのように、20日午後には、水原氏本人がESPNの再取材を受けて「大谷はギャンブルによる借金を知らず、ブックメーカーに送金もしていない」と前言を撤回するに至った。
「米国の複雑な税制に対応するために資産管理を任されるような代理人ならともかく、通訳に銀行口座を管理させるケースは聞いたことがない。大谷はドジャースはもとよりMLBにとっても唯一無二のスター選手でありドル箱。それだけに米国内では、水原氏に全責任を背負わせて退場させる〝トカゲの尻尾切り〟を疑う声が絶えません」(在米スポーツライター)
事実とすれば温和で純真なイメージを破壊しかねない、不都合な疑惑が露呈しかかっているのだ。