【相談】
以前、満員電車で10代の学生への痴漢容疑で捕まったことがあります。その時、いい弁護士さんに巡り合い、濡れ衣を晴らしてもらうことができました。以来、弁護士というのは実に正義感にあふれる仕事だと憧れています。できれば自分もそんな職に就いてみたい。でも、今からではとても無理ですので、弁護士が主人公のドラマや小説を楽しんでいます。漫画家が天職の弘兼さんに伺うのは変かもしれませんが、生まれ変わったらやってみたい仕事はありますか?(33歳・営業マン)
【回答】
私は法学部卒ですから、大学の同期には弁護士になった友人も多くいるから、多少その世界は知っています。あなたは「弁護士が正義感にあふれる仕事」と、憧れを抱いているみたいですが、過度に期待しない方がいい。もちろん正義感にあふれる弁護士も、たくさんいますが、あくまでもビジネスなので「儲けが第一」という弁護士もいることは知っておいた方がいいでしょう。
弁護士の友人によれば、50歳ぐらいで司法試験に合格する人も少なからずいるそうです。もともと勉強ができる人なのかもしれませんが、これはレアケースなので、やはりドラマや小説で弁護士の活躍を楽しむのが賢明でしょう。
さて、質問の件ですが、漫画家が私の天職かはさておき、生まれ変わったら、なりたい職業は2つあります。1つは料理関係の仕事です。料理人は、もちろんですが食品会社に勤めたいという思いもあります。
松下電器に勤めていたサラリーマンの頃、一番楽しかったことは、電子レンジなどのキッチン家電を担当した時でした。それを利用して調理したものを試食したり「こんなレシピはどうだろう」とみんなで相談しながら料理を作るのが本当に楽しかった。
もう1つは、昭和歌謡が好きなので、プロの作詞家にもなってみたいです。阿久悠さん、なかにし礼さんなど、昔の作詞家が書く歌詞は本当に素晴らしいと思うのです。
例えば、阿久悠さん作詞で石川さゆりさんの名曲「津軽海峡・冬景色」。最初のたった1行を聞くだけで、上野から青森の雪景色に情景がガラッと変わるのです。こういうテクニックを駆使した歌詞が書けたらどんなに楽しいでしょうか。おふたりのコンビで言えば「暖流」の歌詞も素晴らしかったです。
なかにし礼さんが作詞した、島津ゆたかさんの「ホテル」も名曲です。この中で、主人公の女性は、電話帳に自分の名前が男の名前で書かれていることを知ってしまいます。さらに、休日に男の家まで行ってしまう。これだけで「怖い!」(笑)。「黄昏流星群」が1本書けてしまうほどのストーリー性です。
最近の歌はプロが作詞していませんから、こういった歌詞がすっかり減ってしまい、残念に思います。1本の歌詞の中で完璧なストーリーを作る。こういう歌詞の書けるプロの作詞家になってみたいものですね。