選手や関係者たちと男女の関係になったことが次々と明るみに出て、居場所を求めて在京球団担当への異動が実現したプロ野球番記者の小百合(仮名)。ネタが取れなくなってきた中で起死回生を図ろうと手を出したのはなんと、他球団への「情報提供」だった。
自ら年齢を重ねてきたことで、徐々にオンナとしての「価値」が下がってきたと実感していた小百合。球団の注意喚起によって独身選手、若手選手からは距離を置かれてしまい、相手をしてくれるのは情報に疎いマイペースな選手や既婚者ばかり。当然ながら「上がり」の質は落ちていた。
「なんとか挽回しなきゃ」
取材者として小百合が次に思いついたのは、自ら集めた情報をライバルチームに持っていくことだった。
「これまで担当した地方球団、超人気球団の2チームには選手、関係者の知り合いがいます。そこから得た情報を今、担当している在京球団の選手やフロントに惜しみなく提供したのです」
こう明かすのは、さる球団関係者である。続けてもらおう。
「内容は野手なら得意ゾーンや不得意ゾーンだったり、捕手なら配球パターンなど。ケガ人情報、1軍昇格、2軍降格情報、トレード情報なども含まれていました。これらは当然、機密事項で、敵チームに渡してはいけないもの。それを小百合は自分の存在価値を維持するために、売り払ったのです」
仕事は一時、上手く回るようになっていった。だが、不審に思った古巣の関係者たちは、一斉に「取材」。小百合のしっぽをとうとうつかんだ。信用が失墜するのは時間の問題だった。(続く)