ここまで5つの大惨事を警告してきたが、その最後にはとんでもないものが待っていた。南海トラフ巨大海底地震が誘発する「富士山大噴火」である。
南海トラフ巨大海底地震の発生が切迫していることは、今さら言うまでもない。前回指摘したように、フィリピン海プレートの沈み込みによる陸のプレートの歪みは限界点に近づきつつあり、陸のプレートの跳ね上がりによって発生する南海トラフ巨大海底地震は「いつ起きてもおかしくない」と言われている。
ここで大問題なのは、この南海トラフ巨大海底地震が「富士山大噴火」と連動しているという事実だ。
1707年の宝永噴火(富士山6合目付近で起きた大噴火)は、マグニチュード8.6とされる宝永地震(今で言う、南海トラフ巨大海底地震)の49日後に発生している。火山学の専門家は次のように指摘した。
「富士山は前回の宝永噴火から実に300年以上も静穏を保っており、この3世紀の間に、マグマが溜まり続けていると考えられます。となれば、次の噴火は大規模なものになると予測される。明日にでも起こるとされる南海トラフ巨大地震が発生した場合、富士山が火を噴く可能性はかなり高いと言わねばなりません」
富士山が大噴火した場合に被害が及ぶのは、火砕流や溶岩流などの直撃を受ける周辺地域にとどまらない。
静岡、山梨、神奈川の3県と国、有識者などで作る協議会の分析によれば、火山灰を大量に噴き出す宝永噴火のようなタイプの大噴火が起きた場合、首都・東京をはじめとする関東地域が深刻な降灰被害に見舞われ、交通や通信などの都市機能が短時間のうちに完全マヒ状態に陥るとされる。
ここで忘れてはならないのは、富士山の大噴火は「東日本から西日本にかけての広範な地域が、南海トラフ巨大海底地震で甚大な被害を受けているさなかで起こる」という点だ。防災の専門家が声を震わせて言う。
「人的被害や物的被害などの規模から考えても、まさに壊滅的としか言いようのない惨状です。その後の復興には、おそらく10年単位の時が必要になるでしょう」
日本列島は今、大惨事の世紀を迎えようとしているのだ。
(石森巌)