京都を代表する、町家の中に複数の酒場や立ち飲み店が入居する「会館」(写真は四富会館)。安く飲めることから、地元民のみならず、観光客からも人気が高いローカル飲み屋街として知られている。
ところが、その会館が値上がりしている、という話を聞いた。会館に入る店のオーナーに値上げの理由を尋ねると、日本人旅行者のマナーの悪さが浮上した。
狭い店内で大声で喋る、酒1杯で長時間居座る、などが挙げられたが、とりわけ迷惑なのが「ナンパ」だという。市内の会館に入る店の店主が憤慨する。
「ここ数年で会館がメディアに取り上げられるようになってから、日本人観光客が増加していますが、他の客への迷惑なナンパ行為が増えています。常連さんの中には不快に思う人がいるので、ウチの店ではナンパ禁止としているんですが、それでもあとを絶ちませんね」
中には常連の女性客から直接、クレームを言われたことがあるほどのしつこい行為があったという。この店主が続ける。
「お客さん同士の交流も会館の醍醐味です。ただ、常連さんが不快になるナンパ行為をした場合は、出禁にすることもある。ナンパOKのネオ横丁と勘違いしているのかもしれませんが、京都の会館はあくまでも、地元のお客さんが第一です」
ネオ横丁とは、数年前から日本各地で続々とオープンしている飲み屋街だ。昭和レトロな横丁の雰囲気を再現した飲食店施設で出会いを求めに来る男女は多い。そして横丁側もナンパ行為を黙認していることもある。
そうしたネオ横丁が増えた頃あたりから、会館でのナンパも増えたと語る店主。迷惑ナンパを行う旅行客のせいで地元のリピーターを失っては、店側はたまったものではない。