今週は中山で「フェアリーS」が行われる。過去10年で8回2ケタ人気馬が馬券に絡むという波乱含みの重賞だけに、ここは穴党の出番だ。一方、京都の「シンザン記念」は、朝日杯FS組が顔をそろえる、ハイレベルな戦い。
今週は明け3歳牝馬によるフェアリーSがメイン。09年に、それまでの6ハロン戦からマイル戦にリニューアルされ、桜花賞への一里塚と見なされ、重賞として注目度が増した。
暮れから正月、変則日程で調教時間の関係から調整が規則正しくできづらいこと。また寒さが増すことから馬体調整が難しくなり、どの馬も仕上がり状態が特に気になるが、そうしたことで蓋を開けると重め残りで期待を裏切るケースも多いのが、この時期だ。
ましてや3歳馬は目に見えて体重が増える成長期でもあり、関係者だけではなく、馬券を買うファンにとっても悩ましい。
そんなことが反映してのことだろうか。過去10年で馬単で万馬券になったのが7回(馬連で5回)と、波乱含みの荒れることで定評のある一戦になっている。
また、歴史の浅い重賞だが、特徴としては、差し、追い込み馬がよく連絡みしていることだ。マイル戦は自然とペースが速くなるからだろうが、逃げ切りは一昨年のクラウンロゼのみ、ということは覚えておくべきか。
そして今回出走する馬のほとんどが1勝馬。これから伸ばしてきそうな素質馬は少なくはなく、また舞台は中山のマイル戦。周知のように、多頭数になればなるほど外枠の馬は不利を被りやすいトリッキーなコース形態での競馬。とにもかくにも難解な一戦と言っていい。いずれにせよ一筋縄では収まるまい。
悩むところだが、大外枠を引かないことを条件に、最も期待を寄せてみたいのが、コートシャルマンだ。
前走の阪神JFを振り返ってみようか。
下見所(パドック)から、ややテンションが高く、落ち着きを欠いていたが、レースでは、その影響がモロに出た格好。前半はスムーズな走りを見せていたが、中盤からは引っ掛かり気味に好位へ。それがために追い出してからが案外で、持ち味である切れ味が不発のまま終わってしまった。
しかし、10着といっても勝ち馬との差は1.2秒。そう大きく負けてはいないだけに、まだ巻き返し、挽回は十分可能と見ていい。
実際、レース後の反動はなく、いたって元気。だからすぐ、ここに照準を合わせ、調整に入った。
松永幹調教師は言う。
「レース後すぐに息が入ったし、中間のカイバ食いは旺盛。体重も元に戻っている。落ち着きも出て、雰囲気は実にいいですよ」
ならば期待できるというものだ。
新馬─りんどう賞を強烈な末脚で連覇した力量馬。恐らく前走は休み明け(りんどう賞)を勝ったことによる、いわば“2走ボケ”との判断もできるわけで、断じて軽視してはいけないだろう。
ストロングリターン(安田記念勝ち)を兄に、レッドオーヴァル(桜花賞2着)を姉に持つ良血。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
もう1頭大きく狙ってみたい馬がいる。逆転候補のそれはトラストレイカだ。
新馬戦はダートで勝ち上がったが、走りっぷりは軽やかで、尾関師が、
「センス十分。芝でこそと思っている素質の持ち主」
とゾッコンの存在。曾祖母はオークス馬で、レッツゴーターキン(天皇賞・秋)が近親にいる、こちらも良血。使われて良化しており“一発”十分。
他ではトーセンラークがおもしろい。前走の阪神JFは17着と大敗を喫したが、道中3度も不利を被ってのもの。体が重かったこともあり、まずは参考外と見ていい。中間は馬体がしぼれて好気配。あらためて注目したい。
◆アサヒ芸能1/6発売(1/15号)より