第4の大惨事は首都圏を襲う「2つの大地震」、すなわち「首都直下地震」と「千葉東方沖地震」である。
前回でも指摘したように、元日の能登半島地震(マグニチュード7.6、最大震度7)は震源域に近い能登地方のみならず、長野県や岐阜県をはじめとする周辺地域の活断層にも、少なからぬ「地殻のズレ」をもたらした。
実は能登半島地震による水平方向の地殻のズレは、群馬県や栃木県などの関東地方でも数センチ観測されており、その影響は首都・東京にも及んでいるとされる。地震学の専門家も、次のように指摘する。
「2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって、日本列島の地殻は全国規模で大きく歪みました。そこに能登半島地震が発生し、歪みはさらに拡大したのです。その点は東京も例外ではありません。政府は公表に慎重ですが、首都直下地震の発生切迫度は、今回の能登半島地震によって、一段と高まったと言っていいでしょう」
それだけではない。本サイトが3月7日に配信した2つの記事でも指摘したように、国土地理院は今年3月、千葉東方沖のプレート境界で「スロースリップ」と呼ばれる現象が検出されたことを明らかにしているのだ。
スロースリップは、プレート(岩盤)が境界面でゆっくりと滑る現象。千葉東方沖ではフィリピン海プレートが陸のプレートの下に沈み込んでいるが、圧迫で歪められた陸のプレートが反対方向にゆっくりと滑り出していることから、多くの専門家が「陸のプレートが跳ね上がる巨大海底地震の発生が、千葉東方沖で切迫している」と指摘している。
「首都直下地震はマグニチュード7クラス、千葉東方沖地震はマグニチュード8クラスになると、想定されています。いずれも『いつ起きてもおかしくない』と言われる大地震であり、首都圏での被害は想像を絶する規模になることが確実視されています。首都を襲う2つの大地震への備えは、まさに『待ったなしの急務』なのです」(前出・地震学の専門家)
首都・東京にとっても、能登半島地震は他人事などではありえないのである。
(石森巌)