第2の大惨事は、九州から北海道にかけての、日本海側の海底活断層が割れ動くことで発生する大地震である。
実は令和6年能登半島地震(マグニチュード7.6、最大震度7)の発生を受け、政府の地震本部(地震調査研究推進本部)は、これまで「想定空白域」とされていた日本海側の海底活断層で発生する大地震について、一定期間内に地震が発生する確率を予測した長期評価を急ぎ取りまとめ、今年度中にも公表する方針を明らかにしている。
複数の専門家によれば、今回の能登半島地震は数千年に1回程度という頻度でしか起きない大地震であり、政府の地震本部もノーマークを決め込んでいた、想定外の大地震だったという。全国紙科学部記者も、次のように指摘している。
「ところが、ノーマークだった大地震が現に発生し、地震本部は完全に虚を突かれてしまった。しかも、同じく想定空白域とされてきた日本海側の海底には数多くの活断層が存在している。今回の能登半島地震に誘発される形で、これらの海底活断層が次々と動き出すという、想定外の可能性がまたもや浮上してきました」
中でも政府の地震本部が警戒を強めているのが、新潟県・佐渡から北海道・稚内にかけての海底活断層だという。科学部記者が続ける。
「現時点で明らかになっているものだけを見ても、佐渡以北に存在する海底活断層の数は佐渡以南に比べて、格段に多い。佐渡以北の海底活断層の数が格段に多いということは、それだけ地震発生のリスクが増すことを意味しています。今回、政府の地震本部が慌てて長期評価の取りまとめに乗り出したゆえんです」
仮に問題の海底活断層でマグニチュード7クラスの大地震が発生した場合、日本海沿岸地域は強い揺れとともに「甚大な津波被害」に見舞われることになる。
大地震の発生を数カ月単位や数年単位の尺度で予測することはもとより不可能だが、日本海海底大地震は今、南海トラフで懸念されている巨大海底地震とともに、「今そこにある危機」のひとつに急浮上してきているのだ。
(石森巌)