ドジャース・大谷翔平の元通訳、水原一平被告が銀行詐欺などの罪を認め、有罪答弁を行う司法取引が成立したと、米連邦検察が発表した。事件がひと区切りしたとなれば、何でもショービジネスにするのがアメリカ。5月9日(日本時間10日)には現地スポーツ専門チャンネルが「水原被告の犯罪がテレビドラマ化される」と報道した。
制作を担当するのは、第89回アカデミー賞の監督賞と主演女優賞など6部門を受賞した「ラ・ラ・ランド」や「ソウ」シリーズを手がける米大手映画会社「ライオンズゲート」のテレビ部門である。
大谷がドジャースと契約後、違法賭博の借金返済のために水原被告が大谷の口座から1697万5010ドル(約26億4000万円)を盗み、事件が発覚して裁判にかけられるまでの一連の流れをドラマ化する予定だという。
大谷ファンにとって気がかりなのは、ドラマの制作メンバーに日系アメリカ人や日本人の「大谷番記者」がリストアップされず、中国系カナダ人のスポーツジャーナリストの名前が挙がっていること。
大谷は現地時間4月26日にトロントで行われたブルージェイズ戦で激しいヤジとブーイングを浴びたが、ブルージェイズは最後まで移籍先候補として期待されただけに、愛情から憎悪を募らせた「アンチ大谷」が多い。カナダには中国系移民が多く、ライオンズゲート社の創業の地もカナダだ。
水原被告が自らを正当化するあまり、あるいは報酬を手にしたいあまり、大谷を貶める内容にならないかが、今から危惧されるのだ。
そんな心配を笑って吹き飛ばしたのが、X上でバズった「#サギ師一平」というパワーワードだ。
「サギ師一平」とは「週刊漫画TIMES」(芳文社)で連載された同名タイトルのコミックを原作とする、実写版ビデオのタイトル。過去に萩原流行や羽賀研二が、悪徳病院長や悪徳社長を欺く痛快な「サギ師一平」を演じている。
萩原が2015年に非業の事故死を遂げていることを踏まえ、水原被告のうさん臭さを演じるのに羽賀ほどの適任者はいないだろうと、ネット上で盛り上がっているのだ。
刑期を終えて地元沖縄で芸能活動を再開したとはいえ、過去に未公開株詐欺事件という、被害者が存在する事件を起こした羽賀の起用は、現実には難しいだろう。だが、もしライオンズゲート社が大谷に対して悪意に満ちたドラマを制作した際には、日本で実写ドラマ「サギ師一平」を制作して、ハリウッドに乗り込んではどうか。
(那須優子)