これは夜の店をめぐる男女関係のもつれか、カネのトラブルか。
東京都新宿区西新宿のタワーマンション敷地内で、住人の女性が腹や首などをナイフで刺されて死亡する凄惨な事件が、5月8日に発生した。逮捕されたのは、現場にいた職業不詳の和久井学容疑者だった。
和久井容疑者は被害女性が経営していたガールズバーに客として訪れ、入れ込むようになったとされる。経営資金として女性に1000万円以上を貢ぐも、冷たくあしらわれるようになり、ストーカー行為を繰り返した末の犯行とみられている。
水商売の女性が経営のための資金として、客から大金を受け取る。これはよくある話なのだろうか。都内でスナックを経営するママに話を聞いた。
「ホステスが独立して店をオープンすることはよくありますが、大抵は裏にスポンサーの存在がありますね。自分で貯めたお金で開業する子なんて、本当に一部だと思います」
被害女性は自身でガールズバーやキャバクラを経営していたという。どんなに小さい店でも、オープンには最低でも500万円から1000万円ほどの開業資金が必要となると、先のママは説明する。もちろん、出せる分は自身の蓄えでやりくりするが、スポンサーの存在は不可欠だというのだ。
「私も前に働いていたラウンジのお客さんから300万円ほどを融資してもらい、今のスナックをオープンしました。でも毎月、きちんと返済はしています。夜の店を始める時に、お客さんからの融資を『もらったもの』だと勘違いしてしまう子は多いんですよね。そのあたりの行き違いから、今回のような事件につながってしまったのではないでしょうか」
容疑者の思い入れの強さと、女性の認識の違いが招いた惨劇だったのかもしれない。