一時は首位に立ったと大騒ぎだった中日ドラゴンズが、いつの間にやら「定位置」に落ち着いていた――。そしてそこへ、さらなる火ダネが発生している。
5月14日からの阪神戦を、1勝2敗で負け越し。続く17日からのDeNA戦も1勝2敗で黒星を優先させ、最下位に沈んでいる中日。16日の阪神戦では、根尾昴が6回に本拠地初登板したが、4番に抜擢された原口文仁にいきなり、左翼席への3ランを食らってしまった。ファンからは「もう投手は無理だろ」と落胆の声が続出。起用法をめぐる議論が活発になっている。
そこへ火に油を注ぐかのごとき苦言をブチ込んだのが、中日OBの谷沢健一氏だ。現役時代に17年間、主軸打者として活躍した名球会打者は、Xで根尾を論評した。
〈根尾君には期待したが、投手には向いてませんね。野手投げなのでタイミングが合ってしまうんですよ。スカウティングばかりしている監督では指導する暇もない。慶應義塾との分かれ道だった。今更そんな事言っても…遠回りするかも知れないが外野手ならば強肩と俊敏さは一流。打撃は私が教えるよ」
「慶應義塾との分かれ道」というのは、根尾はかつて中学から慶應高校から慶應大学医学部に進学する道を本気で考えていたことを指すものと思われる。そして投手としての能力に見切りをつけ、打者転向を促した谷沢氏。と同時に立浪和義監督をも批判し、自らコーチを買って出たのだ。
スポーツライターが語る。
「これは根尾を勧誘した大阪桐蔭の西谷浩一監督への批判ともとれますし、プロ入り後に『ショート一本でやりたい』という根尾に投手転向を勧めた立浪監督への苦言ともとれる。もともと根尾の素質は折り紙付きですが、中日ではそれを的確に指導できる首脳陣がいなかったということ。中日では打者と投手どちらも芽が出ていないのですから、このまま放っておくより、トレードが最も現実的かもしれません」
同期の広島・小園海斗は根尾と同じ小柄な体躯ながら、今季はチームの4番に座る大活躍。立派な主軸に成長している。根尾が育成には定評のある広島に移籍したら、大化けする可能性があるかもしれない。
女性トラブルで正念場を迎えている中村奨成あたりは、いい交換相手になると思うのだが…。
(ケン高田)