血気盛んなガチンコプレーは過去の産物となったのだろうか。今やオフには球団をまたいだ合同自主トレが公然と開催され、ブラッシュボールが投げられようが、乱闘が起きる気配すらない。しかし、どれだけ外面を取り繕っても内に秘めたる不協和音だけはどうにもならないようで‥‥。
わずか3週間でペナントの順位が大きく変動しかねない交流戦がスタート。球団創設90周年の巨人も巻き返しを図りたいところだが、その起爆剤になりうる〝未完の大器〟が2年目のジンクスにあえいでいた。
スポーツ紙デスクが窮状を明かす。
「秋広優人(21)が迷路から抜け出せずにいます。今季から、長打よりも打率を優先したフォームに改良したのが裏目に出ました。開幕1軍入りを逃したのに、二岡智宏ヘッドコーチ(48)が『可能性を狭める必要はない』とヘタなお墨付きを与えたのもマズかった。ホームランはおろかヒットも打てない〝木偶の坊〟に成り下がっただけです。せめて中日に移籍した兄貴分・中田翔(35)がまだいたら、よき相談相手になっていたのでしょうが‥‥」
5月7日に今季初昇格を果たすも、20日にファーム降格。早くも阿部慎之助監督(45)の戦力構想からも外れてしまったというのだ。在京球団スコアラーが言う。
「当初こそ、秋広への厳しい言葉は期待の裏返しでした。ところが1軍で20打席に立たせたのに好転せず、すでに見限られたと聞きました。阿部監督が1度見切りをつけた選手にドライなのは有名な話です。オフに現役ドラフトでヤクルトに移籍した北村拓己(28)から挨拶の電話があっても、『あぁ、あぁ‥‥』と相槌を打つのみで、ガチャ切り。秋広もトレード要員として、パ・リーグ相手の〝見本市〟よろしく打席に立たせるのが関の山でしょう」
まさしく交流戦はリーグをまたいだ品評会にほかならない。その点、4月に国内FA権を取得した阪神の坂本誠志郎(30)は、両リーグから熱視線が注がれている。球界関係者が語る。
「いわゆる『ささやき戦術』の使い手。『前の打席で打たれたからコース変えんとな‥‥』『今、見送ったのは狙い球じゃないのかよ!』といったようにブツブツ話しかけ、相手打者にかなりウザがられている存在です。ディフェンス面の強化のために、ソフトバンクやロッテが水面下で獲得調査に動いているようです」
今季の推定年俸7000万円はチーム内で11位以下のCランク。FAで人的補償が発生しないだけに獲得するハードルは低い。
「打撃不振でも梅野隆太郎(32)の方がチーム内の序列が高いことを坂本本人が不満に感じているらしい。しかも、同じくFA権を取得した青柳晃洋(30)と大山悠輔(29)の残留交渉も控えている都合上、オフの契約交渉における優先順位も低い。もしも阪神が坂本の評価を見誤れば、〝今生の別れ〟となる可能性もあります」(球界関係者)
今オフのFA戦線もひと波乱ありそうだ。