ファミリーコンピュータ向けソフト「ドラゴンクエスト」が1986年に発売されてから、根強い人気を誇るのが「ドラクエ」シリーズだ。第1作の発売日である5月27日は、日本記念日協会に「ドラゴンクエストの日」として認定されている。まさに国民的ロールプレイングゲームなのである。
現在、ナンバリングタイトルの「ドラゴンクエストXⅡ 選ばれし運命の炎」の制作が進められているが、なんとも心配なことがある。
5月23日、開発元のスクウェア・エニックスは、スマホ向けアプリ「ドラゴンクエスト チャンピオンズ」のサービスを7月30日で終了する、と発表したのだ。昨年6月にリリースされてから、約1年での急転である。ゲーム業界関係者が語る。
「『チャンピオンズ』はドラクエの世界で、大人数のプレイヤーがバトルロイヤルを行う作品。シリーズ最新タイトルとして鳴り物入りで登場しましたが、あまりにも早いサービス終了となってしまいました」
終了に際し、同作のプロデューサーが、ユーザーに謝罪のメッセージを発信。
「様々な検討を行いましたが、今後皆さまにご満足いただけるサービス提供が困難であるという結論に至り、この度このようなお知らせをお伝えすることになりました」
前出のゲーム業界関係者によれば、
「サービス終了の背景にあるのは、ユーザー数の伸び悩み。スマホゲームとして破格の開発費をかけて制作されたタイトルだけに、なんとかして継続したかったのでしょうが、同社は5月13日に発表した直近の決算で、約221億円の特別損失を計上した。そんな苦しい状況に、資金面で断念せざるをえなかったのでしょう。ゲームとしての完成度は高かっただけに、非常に残念です」
こうした中で高まるのが「最悪事態」への懸念だ。ゲーム業界関係者がさらに言う。
「さらに多額の費用がかかる『ドラゴンクエストXⅡ』の開発にも、暗雲が垂れ込めてきます。『チャンピオンズ』が悲惨な結果に終わったことで、ドラクエファンの間では『もうナンバリングタイトルを出せないのでは』と懸念する声が高まっています」
ファンを安心させるべく、「ドラクエ生みの親」である堀井雄二氏は5月27日に「心配をかけているドラクエ12ですが、実はさっきまで、その打ち合わせをしていました」とXに綴っている。さて、どうなるのか。
(川瀬大輔)