突然だが、プロ野球で「シーズン最多初回先頭打者本塁打記録」を持つのは誰だかご存じか。
1位=高橋由伸(巨人・2007年・9本)、2位=福本豊(阪急・1972年・8本)、次いで緒方孝市(広島・1999年)、西岡剛(ロッテ・2009年)といった盗塁王のタイトルを獲った快足自慢となっている。
いや、ちょっと待て。1位のあの人は2000年の「5個」が最多盗塁だ。なにゆえ1番を担うことが多かったのか。野球解説者・江川卓氏は5月29日、自身のYouTubeチャンネル〈江川卓のたかされ【江川卓 公式チャンネル】〉で、内幕をこう説明した。
「誰も1番を打つ人がいなかったらしいんですよ。すごい4番バッターばかりがチームに集まった時があって、1番が由伸さんしかいなかったらしいんですよ。『ボク、走れませんよ』って…」
それでも1番打者に指名された2007年、巨人の主な2番以降のスタメンオーダーは、次の通りだ。2番=谷佳知、3番=小笠原道大、4番=李承燁、5番=二岡智宏、6番=阿部慎之助、7番=木村拓也、8番=デーモン・ホリンズ。うーん、「すごい4番バッターばかり」とはとても思えないラインナップなのだが…。
この年の高橋の本塁打は35本で自己最多。阿部の33本を上回り、チーム内でも最多とし、リーグ制覇に貢献した(クライマックスシリーズで、日本シリーズに進出したのは中日)。
ちなみに本塁打王は横浜(現DeNA)の主砲・村田修一で、36本だった。1本差で逃した1番打者がキングに輝いていれば、プロ野球界の珍事となっていたことだろう。
(所ひで/ユーチューブライター)