かつて「290円ラーメン」で人気を博したラーメンチェーン「幸楽苑」の業績不振が続いている。2014年に西日本へ進出するものの、業績悪化により撤退。関東の店舗でも閉店が相次ぎ、事業縮小が進んでいる。
しかしその一方で、唯一の海外進出先であるタイでは、現地の日本人に大人気。バンコクやシラチャなどを含む全7店舗をタイで展開している。繁盛の理由を、現地在住の日本人に尋ねてみた。
「中華そばが103バーツ(約439円)と、日本とほぼ同じ価格で同等のクオリティーで食べられます。他のメニューも700円から900円程度で、タイのラーメン店の中ではお手頃だと思いますね。タイに住んでいると、日本にいる時と違って、こってりしたラーメンをあまり食べたくならないんです。若い人たちの間ではこってり系の人気が高いですが、タイには早期リタイアした年配者が多いので、慣れ親しんだ味が好まれるんですよね」
年間を通して30度以上という温暖な気候のタイでは、こってりラーメンよりもあっさり中華そばが好まれるのだ。さらに、別の日本人在住者からはこんな声が。
「タイに進出するラーメンチェーンは、味がタイ人向けにアレンジされることが多いのですが、『幸楽苑』は日本と同じ味を楽しめます。タイ人向けにはトムヤムラーメンが提供されており、タイ人にも人気がありますね」
タイに住む関西出身の男性は、以前は大阪の店舗に通っていたが、その店舗が閉店したため、今ではタイでしか食べられないことを喜んでいる。現地在住日本人のみならず、タイ人にも好まれる「幸楽苑」は今後、さらにタイでの展開を拡大していくかもしれない。
(カワノアユミ)