並みの重圧ではない巨人の4番を張り、監督にもなった大スターはやはり、凡人とは異なる思考回路を持っているものなのか。指導者として選手にどう接するかという野球哲学の違いを明かしたのは、元巨人の「クセ者」だ。ミスタープロ野球と若大将は、いかにして選手のホンネを把握し、チーム運営へとつなげていったのか。なんとも興味深い話なのである。(2024年5月2日配信)
「選手に気を遣わせないようにする」
ミスタープロ野球、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督をこう評したのは、昨年まで巨人のヘッドコーチや作戦兼内野守備コーチなどを歴任した、元木大介氏である。
DeNA元監督アレックス・ラミレス氏のYouTubeチャンネル〈【ラミレス公式】ラミちゃんねる〉に登場すると、かつてのミスターの素顔を明かしたのだ。
「基本、グラウンド以外は選手とあまり接しない。ホテルの食事も監督は部屋で、キャンプでも部屋で摂るし、みんなとは一緒に摂らない。(ミスターいわく)『監督がいたら、みんなこっちを見て食べるだろ。だからオレは行かないようにしてる。リラックスして食べてくれ』と」
一方、昨年まで仕えた原辰徳前監督はというと、ミスターとは真逆。
「みんなと一緒に食事をしたい。みんなの顔色を見ながら、何かひと言を言ったりとか、呼んで『一緒にちょっと一杯飲めよ』っていう兄貴分的なことをやってきた。17年間という長い監督生活の中で、若い時は我々が一緒に現役をやってた監督なので、兄貴分的な(スタンスでよかった)。でも今の若い選手はそれを知らないし、スゴい監督にしか見えてないから、逆に緊張してる。監督の考えと若い選手のギャップがちょっと出たかな」
これではプレーにおいて、選手と監督の間にギクシャクした関係が生まれたことだろう。その結果、2年連続Bクラスだったのか…。
では元木氏による、現在の阿部慎之助監督評はどうか。
「見て、あるいは選手の話を聞いている限りは、何も言わなくなった。2軍の監督の時には厳しかった。でも1軍監督になった時に厳しさ、選手の縛りを楽にしてあげたのかな。だから若い選手もいいのかな。今の時代に合ってきたのかな」
阿部監督の時代に即した臨機応変の指揮を見守りたい。
(所ひで/ユーチューブライター)