今年9月の自民党総裁選への出馬が取り沙汰される河野太郎デジタル担当相が、窮地に陥っている。自らの肝煎りで作った、再生可能エネルギーの規制緩和を議論する特別チーム、内閣府のタスクフォース(TF)が解散に追い込まれたためだ。
このTFの関係資料に中国の国営電力会社のロゴマークが入っていた問題をめぐり、内閣府はこのほど公表した報告書で、中国の影響力行使を否定する一方で、再エネTFは本来の権限を越える運用が行われてきたと指摘した。これを受けて、河野氏は6月4日の記者会見で、TF廃止を表明した。
だが、自民党の経済安全保障推進本部長を務める甘利明前幹事長は納得せず、次のように河野氏を批判。
「とんでもない大臣が来たら暴走する」
内閣府の調査結果についても、
「中国との関係は、まだ調べが甘いのではないか。もっとしっかり確認してほしい」
と注文をつけた。
この問題では、TF側が他省庁に具体的な政策対応を要求するなど、権限を越える運用が行われていたとして、林芳正官房長官も、TFを所管する河野氏を注意したと明かした。日ごろは「親中派」で知られる林氏のこの対応は、異例といえる。
河野氏は総裁選をニラんでか、4月にはXで自身に関する「デマ」について回答するとして、中国に関する質問も複数取り上げた。
「河野太郎は『親中』『媚中』なのですか?」という質問には「2021年の総裁選挙をきっかけにネット上に流された悪意あるデマにすぎません」と回答。「河野太郎は中国生まれで中国国籍を持っているのか?」という質問については「フェイクニュースです。私の両親は日本人で、私は日本国内で生まれ、日本国内で育ちましたので、中国国籍を持ちようがありません」と否定した。
さらに「なぜ中国共産党の党員バッジをつけていたのか?」という疑問にも「これもフェイクニュースです。SNS上で出回っている『河野太郎が付けている共産党バッジ』なるものは、中国の北京近郊で開催された日中韓外相会合の外相用バッジです」と釈明している。
「Xでいくら中国との関係を否定しようとしても、自民党内での再エネTFをめぐる河野氏のマイナスイメージは大きい。総裁選に出るのは難しいだろう」(閣僚経験者)
そんな声が高まっている情勢なのである。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)